2021 Fiscal Year Research-status Report
アニオン共重合によるABC配列制御高分子の精密合成と天然模倣接着ゴムの創出
Project/Area Number |
21K05165
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
後関 頼太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20592215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アニオン重合 / ブタジエン誘導体 / 交互共重合 / 1,1-ジフェニルエチレン / エラストマー材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、モノマー配列を簡便に制御する技術を確立し、配列に由来する特性との相関を解明することで、機能性材料の新しい設計指針を獲得することを目指している。特に、1分子からエチレン-スチレンとなる2成分の繰り返し構造を与える1-フェニル-1,3-ジエン誘導体類に着眼し、DPEとのアニオン共重合によりABC3成分系配列制御ポリマーを合成可能にする手法の開発という独創的かつ挑戦的な課題に取り組んでいる。 初年度はベースとなる1-フェニル-1,3-ブタジエン(1-PBD)と1,1-ジフェニルエチレン(DPE)との共重合を行い、得られるポリマーの交互性を評価した。その結果、1-PBDの幾何異性体構造によって反応速度が大きく異なることを見出し、E体の1-PBDを用いつつこれに対して15当量となるDPEを反応させることで交互性の非常に高い共重合体が得られることを明らかにした。 また、イガイの強力な接着力に強く関与していると考えられているカテコール基を有する1-PBD誘導体の合成経路を確立しつつあり、現在この誘導体の単独重合性などの調査に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は予定通り進むことができており、予測通りの配列制御性の高いポリマーが得られている結果が明らかになりつつある。昨年度のうちに論文化にまで着手できていないことから、さらなる反応条件の検討を追加し、早い段階で社会に報告をしたい。このように、論文化に至っていないために"おおむね順調"という評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はカテコール基を有する1-PBD誘導体の単独重合性やその特性を調査するとともに、イソプレンとのブロック共重合化などを行い、その諸特性を明らかにするとともに接着性などを評価したい。 さらに、これまでに得られている知見をもとに交互共重合性の評価やそれに基づく特性変化を明らかにし、配列制御と特性の関係性を調査する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度はコロナの影響もあり、予測よりも支出が少なく他の予算での運営が可能であった。また、本年度より 研究代表者の所属が変更したこともあり、初年度 予定の物品・試薬・器具の調達を本年度に行う予定である。
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Research Products
(9 results)