2023 Fiscal Year Annual Research Report
Control of natural protein-assembly toward thermally conductive materials
Project/Area Number |
21K05182
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 敏樹 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20581078)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生体高分子 / タンパク質 / 自己集合 / 熱伝導 / 熱拡散率 / 架橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱界面材料としての有機系高分子に着目し、天然由来のタンパク質を素材とした集合体の熱伝導性を評価し、その高熱伝導化を図ることを目指した。カイコの繭糸からシルクフィブロインを抽出して有機溶媒に溶解させ、様々な条件下で乾燥させることによりシルクフィブロインからなるフィルムを調製した。シルクフィブロインにはチロシン残基が他の球状タンパク質よりも多く含まれており、紫外光照射により二量化することが知られている。本研究では、二量化させて共有結合形成を図ることにより、高熱伝導化を検討した。有機溶媒にフィルムを浸漬させ、紫外光を照射し、経時的に熱拡散率を測定した。その結果、24時間までは経時的に熱拡散率は増大し、それ以降72時間まで照射しても熱拡散率はほぼ同定度となった。特に、24時間後では熱拡散率の値は5倍程度増大し、熱伝導性が大きく向上することがわかった。蛍光分光光度計による測定の結果、ジチロシンに由来する蛍光が観察され、確かに紫外光照射により二量化が進行していることがわかった。紫外可視分光光度計による測定の結果、フィルムの透明性にはほとんど変化は見られず、凝集などは起きていないことがわかった。また、走査型電子顕微鏡観察の結果、フィルム表面や断面のもるフォロジーに大きな変化は見られなかったことから、大きな集合構造の変化によって熱輸送の経路が変わっているわけではなく、架橋による共有結合の形成にともなって熱伝導性が向上しているものと推察される。以上から、天然タンパク質の構造制御により、熱伝導性の制御が可能であることを見出した。
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