2022 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸系周期的共重合体のステレオコンプレックス形成による高性能化生分解性材料の開発
Project/Area Number |
21K05183
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
辻 秀人 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授
|
Project Period (FY) |
2021 – 2022
|
Keywords | ポリ乳酸 / 周期的共重合体 / ステレオコンプレックス / 生分解性高分子材料 / バイオベース高分子材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオベースであり、生分解性を有するポリ乳酸(PLA)および置換型PLAのL体およびD体のブレンドによるステレオコンプレックス(SC)化は、PLA材料の熱的特性や機械的特性の向上、多様な物理特性および生分解特性を与えることから注目されている。本研究では、キラルな乳酸および置換型の乳酸誘導体をベースとする種々のモノマー単位のシークエンスが厳密に制御された鏡像異性関係にある周期的共重合体を合成し、それら非ブレンド試料の結晶化挙動、およびブレンドによるSC結晶化能、物理特性や生分解挙動を検討することにより、新しいバイオベースな高分子材料を開発することを目的とする。 モノマーとして、鏡像異性関係にあるL-乳酸-L-乳酸-D-乳酸およびD-乳酸-D-乳酸-L-乳酸を9段階のプロセスにより合成し、これらの触媒を用いた縮合重合により、今まで報告のない立体規則性(周期性)を有するポリ(L-乳酸-L-乳酸-D-乳酸)とポリ(D-乳酸-D-乳酸-L-乳酸)を合成した。広角X線回折(WAXD)および示差走査熱量測定(DSC)により、それらの非ブレンド試料は結晶性を有することが分かった。一方で、それら鏡像異性体の1:1ブレンド試料のWAXDおよびDSCにより、ブレンド試料のWAXDパターンおよび融点は非ブレンド試料のものと異なることから、ブレンドによるSCの形成が示唆された。本研究において、今まで報告のない乳酸の立体規則性(周期性)を有する鏡像異性関係にあるホモポリマーの合成に成功し、また、それらのSC形成を初めて見出した。他にも、モノマーユニットの周期性の異なる共重合体の合成および物理特性の評価に取り組んでいる。
|