2022 Fiscal Year Research-status Report
Preparation of well-defined glycopolymerfor oligosaccharide mimicking
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21K05190
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
福田 知博 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30611917)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖鎖高分子 / オリゴ糖 / リビングラジカル重合 / ベロ毒素 / チオラクトン / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
側鎖にチオラクトンを担持したアクリルアミド型モノマーとN-イソプロピルアクリルアミドをRAFT剤を用いて、別途合成した少量の蛍光性モノマーと共に精密共重合することにより、ダンシル基含有二官能基反応性プレポリマーを合成した。また、ガラクトースからアノマー位に末端にアミンおよびアリルを有するβ型およびα型のアセチルガラクトースをそれぞれ合成し、先に合成したプレポリマーに対して昨年度確立した重合後修飾反応(post-polymerization modification)法によって、モノマー側鎖に近接した2分子のアセチルガラクトースが導入された分子をワンポットで合成し、アセチル基の脱保護によりガラクトース2分子型糖鎖高分子を合成した。 α位とβ位ガラクトースが並んだ構造は、ベロ毒素(志賀毒素)に特異性を持つGb3糖脂質の糖鎖の非還元末端側の二糖(α-ガラクトースおよびβ-ガラクトース)を模倣する構造となっており、分子認識に関わる糖鎖構造の模倣となっている。そのため、蛍光標識された糖鎖高分子溶液に対してベロ毒素を滴下し蛍光変化を確認することにより、この糖鎖高分子の分子認識について調べた。その結果、特異的な分子認識特性を示すことを確認し、オリゴ糖模倣機能を達成することに成功した。 またチオラクトン型重合後修飾反応で得られる高分子の材料化に向けて、新規なRAFT剤および重合開始剤の開発検討についても実施し、合成可能性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は4つの段階を経て研究目的が達成されるが、昨年度までに①新規側鎖二価型糖鎖高分子調製法の確立 および②局所多価的な新規糖鎖高分子の分子認識能評価、はあらかた目標が達成されており、本年度は③異なる二価糖鎖導入によるオリゴ糖模倣機能糖鎖高分子の達成、について主に検討実施し、加えて④の異なる二価糖鎖導入によるオリゴ糖模倣機能糖鎖高分子の最適化と材料化に関する研究のための準備を行うこととした。 2022年度においては、目的としていた③の研究について注力し、同じガラクトースではあるが、アノマー位の立体配置が異なるα体およびβ体の異種糖鎖を合成して導入し、オリゴ糖を模倣できる糖鎖高分子の合成に成功した。一方で詳細な分子認識の制御や、複数種の糖質を導入しての特異的な分子認識特性は検討できていない。また、④の研究においてもメルカプト基が保護されチオラクトンの重合後修飾反応に耐性のある開始剤やRAFT剤の合成についても、目標とする分子はそれぞれ確認できているものの、当初の予想通りの純度や収率では得られておらず、次年度④の研究で材料化までを達成するために早急に合成法を確立する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
チオラクトンの重合後修飾反応に耐性のある重合開始剤およびRAFT剤について定量的な合成法を確立し、これを用いたオリゴ糖模倣糖鎖高分子合成によりGrafting to法によるオリゴ糖模倣機能界面の設計および分子認識能評価を行う。
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Causes of Carryover |
オリゴ糖模倣糖鎖高分子が進行の遅れから合成が一部のみに留まっており、当初予定していた分子認識試験に用いる種々のタンパク質等の購入を翌年度以降に廻したため残金が発生している。タンパク質等の生物系試薬は不安定なため、次年度合成が完了し研究が進展した際に改めて購入を予定している。
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Research Products
(2 results)