2022 Fiscal Year Research-status Report
セルロースナノクリスタル液晶の自在な階層的配向制御と機能発現
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21K05199
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
毛利 恵美子 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60380721)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セルロースナノクリスタル / 液晶 / ポリエチレングリコール / 微粒子 / コアーシェル粒子 / 高分子複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースナノクリスタル(CNC)と呼ばれるセルロースナノロッドは、セルロース成分からなるナノサイズの異方性粒子であり、一定濃度以上でコレステリッ ク液晶性を発現することが報告されている。このCNCを用いて、複雑な内部構造を有する構造体を創出することができれば、無害・安価で高機能性を有するソフ トマテリアルの創出に繋がると考え、これまで自己組織化析出(SORP)法を基盤に、CNC-高分子複合粒子を調製してきた。 今年度の成果として、ポリエチレングリコール(PEG)をベースとした高分子を用いてCNCとの複合化を行ったところ、球状ではなく円盤状の粒子が得られることが明らかになった。この円盤状粒子は単純な円盤状ではなく、ドーナツ状の構造をとっており、ドーナツ部分にCNCが集積し、穴の部分にPEG系高分子が存在すると考えられる。さらに、この円盤状粒子は、ドーナツ部分が強い複屈折性を示し、粒子内でCNCが配向していることを示唆している。したがって、ロッド上のCNC粒子をビルディングブロックとして用い、さらにサイズの大きい(数十ミクロンメートル)異方性粒子に組み上げることに成功した。これまでのPEG系の結果をまとめると、わずかな分子量や、分子構造の差異により、形成する粒子の内部構造、サイズが大きく変わることが明らかになった。 また、同様にSORP法を用いて、温度応答性高分子やpH応答性高分子とCNCを複合化した粒子も調製した。これらの系では、高分子の一部を架橋反応によりネットワーク化し、形状を保持できるようデザインした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、球状のコアーシェル粒子を調製してきたが、本年度は円盤状の粒子の調製法を確立することができた。予想外の展開ではあるものの、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られたCNC―PEG複合粒子は、PEGのPCM(相変化材料)特性を生かした蓄熱材料として利用できると期待できる。そのため、複合粒子の熱特性を評価する。一方で、CNC―PEG複合粒子が示すCNCの複屈折特性は、CNCの配向状態により光学材料として利用できる可能性がある。そのため、この複合粒子の円偏光特性を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
長期化したコロナ禍により学会参加が不可能だったため計画額と使用額が異なるが、次年度は海外での学会発表を行うため、この差額を使用する予定である。
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