2021 Fiscal Year Research-status Report
補償電荷測定法による極性分子配向薄膜の光誘起脱分極機構の解明と長寿命化
Project/Area Number |
21K05208
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 有弥 千葉大学, 先進科学センター, 助教 (90780065)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 極性分子 / 配向分極 / エレクトレット / 有機EL / 振動発電 / センサ / 巨大表面電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年我々は「自発的に配向する極性有機分子は,荷電処理が一切不要なエレクトレットとして機能する」ことを実証した.これはセンサやマイク,振動発電素子といった様々なエレクトレットデバイスの低コスト化を実現しうる新しい材料といえるが,光に対する表面電位の安定性は低い.この電位消失機構を解明するため,本研究では新しく補償電荷測定法を構築する.本手法を用いて表面電位の安定性の制限因子を明らかにするとともに,長寿命の極性有機分子エレクトレットを実現することを本研究の目的としている. 本研究を開始した2021年度は構造を変えたサンプルの表面電位測定から着手した.その結果,基板の種類によっては,光照射しても極性分子エレクトレットの表面電位は減少せず,むしろサンプルによっては成膜直後の初期電位よりも増加することを見出した.今後注意深くこの現象の再現性,及びこの現象が発生する条件を調べていく必要はあるが,これは長寿命な極性分子エレクトレットの実現にもつながる重要な成果であると言える. このため,当初は光照射による電位消失過程を調べる予定であったが,今後は光照射による表面電位の発現機構の解明に注力していく予定である.ちなみに本研究で立ち上げる補償電荷測定法は,電位変化によって電極に生じる補償電荷を計測するものであり,研究対象がどちらであっても有力な評価手法となる.新しく発見した現象に対して実験を進めたため計画はやや遅れがちであるが,予定通り評価手法は構築する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近年我々は「自発的に配向する極性有機分子は,荷電処理が一切不要なエレクトレットとして機能する」ことを実証した.これはセンサやマイク,振動発電素子といった様々なエレクトレットデバイスの低コスト化を実現しうる新しい材料といえるが,光に対する表面電位の安定性は低い.この電位消失機構を解明するため,本研究では新しく補償電荷測定法を構築する.本手法を用いて表面電位の安定性の制限因子を明らかにするとともに,長寿命の極性有機分子エレクトレットを実現することを本研究の目的としている. 本研究が始まった2021年度では,まずは補償電荷測定法を構築する予定であった.しかしながら,サンプルの構造を工夫することで光照射しても表面電位が減少しないという結果が得られた.この現象について実験を進めたため,新手法の立ち上げが遅れていることから,進捗状況は区分(3)の「やや遅れている」とした.ただし今回発見した現象に対しても補償電荷測定は重要であることから,計画通りに新手法の立ち上げを行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
近年我々は「自発的に配向する極性有機分子は,荷電処理が一切不要なエレクトレットとして機能する」ことを実証した.これはセンサやマイク,振動発電素子といった様々なエレクトレットデバイスの低コスト化を実現しうる新しい材料といえるが,光に対する表面電位の安定性は低い.この電位消失機構を解明するため,本研究では新しく補償電荷測定法を構築する.本手法を用いて表面電位の安定性の制限因子を明らかにするとともに,長寿命の極性有機分子エレクトレットを実現することを本研究の目的としている. 当初は補償電荷測定法をまず立ち上げ,それを用いて極性分子エレクトレットの表面電位消失機構を精査し,最終的には機構を解明して長寿命化につなげる予定であった.しかしながら,再現性はよく確認する必要はあるものの,構造を工夫することで光に対する安定性の高いサンプルを作製することができた.極性分子エレクトレットの実用化(デバイス応用)という観点からみるとこれは極めて重要な知見であるため,今後はこの現象のメカニズムの解明に注力する.着目する現象に若干の変更はあるものの,本研究で提案する補償電荷測定法はそのメカニズム解明に必須であるため,本手法の構築も行いながら機構解明につなげる.
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Research Products
(17 results)