2021 Fiscal Year Research-status Report
Electromagnetic properties of molecular nanocoils and application for the scaffold
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21K05210
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
帯刀 陽子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30435763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 禎文 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (00405341)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノコイル / 電荷移動錯体 / ナノ物性 / スキャホールド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、起電力を発生させることができる分子性電磁ナノコイルの構造と電磁物性の相関を明らかにし、自己発電型電磁ナノコイルスキャホールドの開発を目指す。 再生医工学に関する研究は、医歯薬理工分野が融合した視点から盛んに行われており、特に再生に必要な細胞を効果的に機能させる足場材料の開発が渇望されている。集合状態で高導電性を発現する分子性導体の電磁気物性を解明することで新規メディカルデバイスを開拓する。分子性電磁ナノコイルが誘起するコイル構造由来の誘導起電力を用いて、スキャホールド自体が細胞の分化・増殖過程に働きかけ、骨再生を促進する新規動的自己活性化電磁ナノコイルスキャホールドを作成する。 具体的には、①有機導電性分子からなる分子性電磁ナノコイルの構築、②自己発電型分子性電磁ナノコイルの電磁物性を評価することで、分子性電磁ナノコイルの構造と電磁物性の相関を解明する。さらに、得られた知見を基に、③分子性電磁ナノコイルスキャホールドを用いた細胞培養と再生医療への応用へと展開し、新奇再生医療バイオデバイスの開発を目指す。昨年度は、研究計画にも記したように上記①と②について取り組んだ。①については、分子性ナノコイルを安定して得ることに成功し、②については、バルク状態での物性評価については達成したが、ナノ物性については今年度引き続き評価方法を見直しつつ進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に計画に挙げていた分子性ナノコイルの作成について、これまでの知見を適用することでスムーズに作成することができた。これまでの研究の成果で得られた、導電性分子電磁ナノコイルを作製することから着手し、新な分子を合成する事にも成功した。更には、新規分子を1次元体に組織化する際にも、同様の方法を用いることができた。作製時の温度、溶媒の種類、乾燥時間等の外的要因を制御することで、コイル直径、巻き数、ピッチ、配向性もコントロールすることも目標に据えていたが、こちらについても概ね達成できた。ピッチや配向性については、令和4年度も引き続き詳細な条件を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ナノコイル作製時のピッチ、配向性について、再現性良くコントロールできるような条件を検討する。また、電磁物性についてはバルク状態でのみの試験となっていることから、ナノ物性の解明についても着手する。具体的に、分子性電磁ナノコイルの電磁特性は、これまでの知見から得られたように、強磁場発生装置を用いて交流磁場を印加し、オシロスコープを用いてバルク状態での誘導起電力を評価する。これまでの研究で分子性ナノコイルのランダム配列状態で誘導起電力が測定できていることから、ナノコイルの直径、巻き数、ピッチ、配向性を変化させた場合の誘導起電力について、コイル構造と電磁物性の相関を解明する。最終的には、構造と物性の相関を明らかにすることで、デバイス応用へも繋がると考えられることから、様々なサイズを有する組織体を作成し、その物性評価をバルクとナノスケールで評価する。
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Causes of Carryover |
分子性ナノコイルの新規誘導体合成に関する経路が、予定していた経路ではなく、もっと簡便な方法で合成可能であったことから、予定していた試薬を使用せずに得ることができた。また、物性評価についてはバルク状態の評価までしか進めることができなかったため、ナノ物性評価に必要な装置を使用しなかったことが原因である。
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