2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05220
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
相見 順子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (80579821)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機メモリ / フタロシアニン / フローティングゲート / 有機薄膜トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、機能性分子をコアにもつスターポリマーを電荷蓄積材料(ナノフローティングゲート)とする高性能有機トランジスタ(OFET)メモリ開発を目的とする。 特に、材料内に電子とホール電荷を安定にトラップできるアンバイポーラトラップ型OFETメモリの開発に取り組み、メモリのさらなる高性能化と多値化に挑戦する。正負両電荷を安定にトラップできる高分子薄膜を作製するため、高分子の相分離に着目した。初年度は、亜鉛フタロシアニンをコアに持つスターポリスチレンを用いて、超分子ミクトアームスターポリマーを合成した。複数種のポリマーが放射状に伸びたミクトアームスターポリマーは、薄膜内にミクロ相分離構造を形成することが知られている。配位結合を利用することで、AB4型ミクトアームスターポリマーが合成できることを、吸収スペクトルおよびNMRスペクトル解析によって確認した。また、原子間力顕微鏡を用いて、高分子薄膜の相分離構造を観察した。今後、この高分子薄膜を電荷蓄積層としてOFETメモリを作製し、相分離構造がメモリ性能に与える影響を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、ジブロックコポリマー(ポリスチレン-ブロック-ポリビニルピリジン, PS-b-P2VP)をアームに持つ、スターコポリマーの合成を検討した。しかしながら、精密ラジカル重合(ATRP)による合成が困難であったことから、計画を変更し、配位結合を用いる新規超分子ミクトアームスターポリマー合成に挑戦した。自己集合を用いることで、様々な種類のスターコポリマーを溶液中で混ぜるだけで作製できるため、新たな応用展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度得られた高分子薄膜の相分離挙動を精査する。同時に、OFETメモリを作製し、そのメモリ挙動を評価する。電荷移動度、メモリウィンドウ、メモリ保持時間、書き込み繰り返し回数などの評価を行い、メモリ性能の高性能化を目指す。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際学会がオンライン開催になったため、計上していた旅費を使用しなかった。また、初年度購入予定としていたGPCカラムを別予算で購入し、代わりに次年度購入予定だった冷却機を購入したため、差額が生じた。本年度繰り越し分は、次年度のデバイス評価実験のための消耗品に利用する。また、初年度の結果を論文発表するための英文校閲や投稿料への利用を計画する。
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