2021 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of Z-scheme photocatalysis based on control of electron transfer utilizing electrochemical techniques
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21K05240
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 啓 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80761311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 半導体光触媒 / 人工光合成 / 電気化学 / 電子伝達 / Zスキーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「電気化学を活用した電子伝達制御に基づくZスキーム型光触媒系の機能向上」では,半導体光触媒を用いた可視光照射下における2光子励起(Zスキーム)によるエネルギー蓄積型の反応において,活性・機能向上のボトルネックと想定される光触媒間の光励起電子の伝達過程にフォーカスし,熱力学的な制御による系統的な知見を得るとともに,電気化学手法による速度論的な解析制御手法の開発と評価を行っている。 今年度は、水中で駆動するZスキーム型反応の電子伝達過程における系設計指針を得ることを主な目的として,電子伝達を担うレドックス錯体の配位子上の官能基を変更し,電位を様々に制御した電子伝達剤を開発した。また水分解反応を駆動する代表的な可視光応答の半導体光触媒と組み合わせた系を対象として,電位による電子伝達への効果を系統的に調べた。 可逆なレドックス剤として,電位を制御した様々なコバルトトリスビピリジン錯体を開発し,電気化学測定によって電位の変化を確認した。この錯体を電子伝達剤として用いたZスキーム型水分解反応を行った。電子伝達剤の電位が卑側にシフトすることで酸素生成光触媒からの電子移動が遅くなることが予想され,実際に酸素生成速度の低下が確認された。また溶液のpH調整を組み合わせることで,反応速度が変化することも確認された。これらによって,電子伝達剤と光触媒の電位関係を系統的に変化させた際の反応速度への影響を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、電位関係を制御した光触媒反応系と,光電気化学を用いた解析手法それぞれを開発し,光触媒と電子伝達剤間での光電子伝達過程を系統的に理解することによる高効率・高機能な光触媒系の実現を目的としている。 本年度においては、全体の反応の中で電子移動プロセスの中心となる電子伝達剤について設計と開発を行った。またこれを用いて実際にZスキーム型の光触媒反応を試み,その反応速度から考察を行った。したがって,研究課題で目的としている系統的な制御と解析のための一定の進捗を得たと考え,おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、ここまでに得られた電子伝達剤と光触媒の熱力学的な関係と活性との関係の知見を深め,電子移動への影響をより詳細に検討する。電子伝達剤にくわえ,半導体光触媒や反応系の条件等の検討の幅を広げることで,より広範な知見を収集する。 また,ここまでの情報に基づき電気化学系の構築を試みる。種々のレドックス電位を有する電子伝達剤と電極化した光触媒を組み合わせ,速度論的な情報を引き出すための手法を開発し,実際の反応結果との比較を行う。 これらを通して,電子伝達をより詳細に制御した高活性・高機能なZスキーム型光触媒系の設計指針の確立とその実現を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-2019の流行の波によって,成果発表・情報収集のため参加予定していた国内学会が現地開催からオンライン開催となり,計上していた旅費が急遽不要になったため。次年度において物品費,学会参加費等の一部として使用していく予定である。
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Research Products
(8 results)