2022 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子結晶内のイオン配列制御による高速・高効率な電気化学反応の実現
Project/Area Number |
21K05241
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩間 悦郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90726423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直井 勝彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 理事 (70192664)
沖田 尚久 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70846625)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イオン配列制御 / 高速充放電 / エネルギー高効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度は、R3年度までcation-disordered LVOの合成手法であったメカノケミカル手法(遊星ボールミル)の代替手法の開発を目的として研究を取り組んだ。R3年度における研究結果(主にXRDおよびX線散乱測定)から、メカノケミカル手法によって得られたcation-ordered LVOの微細構造(中長距離配列の乱れ)が明らかとなった。一方で、このメカノケミカル手法は、原料の固相法による焼成プロセスと,β-LVOを遊星ボールミルで粉砕する,2段階のプロセスを経て合成されるため、大きな消費電力を伴う他,合成時間が合計50時間以上かかり、より簡便な合成手法の合成が望まれる。そこで本年度では、このメカノケミカル手法の代替合成手法の開発に着手し、粉体の構造解析および電気化学測定から、その合成の可否を判断した。検討の結果、リチウム源・バナジウム源を溶解した液相を噴霧乾燥することで、メカノケミカル手法で得られたcation-disordered LVOに類似したXRDパターンを得られることが分かった。また、X線散乱測定からPair Distribution Function (PDF)解析を行い、こちらも同様にメカノケミカル手法で得られた粉体と類似の中長距離配列(12オングストローム以上)の乱れが確認できた。また得られた粉体の充放電試験からも、高出力化および酸化還元ヒステリスの低減といったメカノケミカル手法と同様の変化が確認された。噴霧乾燥による合成手法は,乾燥のみで得られるため、50時間から15分と合成時間が大幅に短縮化する(1/200)ことができる。また、研究室レベルの試算ではあるが、消費電力量も約50kWhから約1kWh以下にまで抑制することができ、目的であったメカノケミカル手法の代替合成手法を確立したと結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R3年度終了時における目的であった、メカノケミカル手法の代替合成手法の確立に成功した。得られた粉体の構造解析・電気化学解析から、代替合成手法で得られた粉体がメカノケミカル手法と類似の結晶構造をもち、同等の電気化学特性を発現することが確認できた。さらに合成に必要な累計時間・投入エネルギーともに、大幅な短縮・抑制を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られたcation-disordered LVOのより詳細な構造解析を行う。また、メカノケミカル手法との比較、ならびに噴霧乾燥合成の条件検討から、cation-disordered LVOの合成メカニズムおよび電気化学特性変化のメカニズム解明に繋げる。
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Research Products
(19 results)