2021 Fiscal Year Research-status Report
自己形成性層状複水酸化物ゲルの構造及びイオン導電機構解明
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21K05242
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
園山 範之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50272696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 勝宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314082)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / ゲル / 微粒子 / クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
複水層状酸化物(LDH)ゲルの構造と特性を明らかにするために、様々な種類のLDHゲルの合成を行った。塩化マグネシウム、塩化アルミニウムを秤量し、アセチルアセトンを加えた超純水とエタノールの混合溶媒に溶解させた。この溶液を30分間攪拌し、プロピレンオキシドを加え1分間攪拌した後、室温で放置することで、Mg-Al LDHゲルを作製した。 更に2価金属の試料をMgではなく、Ni、Zn等に代えてLDHゲルを作製した。合成によりゲルが得られたものは、Mg-Al LDH、Ni-Al LDH、Zn-Al LDHで、二価の鉄や二価のマンガンなど、空気中で不安定な価数のイオンを含むLDHはゲルの合成が出来なかった。これはプロトン捕捉剤であるプロピレンオキシドが、プロトン補足・開環時に酸化力を有する中間体に変化するためと思われる。得られたゲルは、いずれもゲル状態ではアモルファスであったが、乾燥後はブロードなLDHのXRDパターンを示し、LDH微粒子が分散していることが確認された。得られたゲルをエタノール中に分散して、光学粒径分散測定を行ったところ、平均粒径がMg-Al-LDH、Ni-Al LDH、Zn-Al LDHで10 nm、20 nm、265 nmとなり、LDHを構成する金属イオンにより粒径が変化することが明らかになった。分散溶液をキャストしてTEMを測定した。Mg-Al LDH、Ni-Al LDHは、棒状の微粒子が観測され、サイズは光学粒径分散測定で得られたものとほぼ一致した。Zn-Al LDHでは棒状の微粒子が集合したクラスターが確認され、そのサイズも光学粒径分散測定のものと一致した。Zn-Al LDHのみ形状が異なるのは、Znが両性金属であるため、アルカリ下でLDHが形成する機構が他の二つと異なるためと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていたLDHゲルの作成には成功し、その粒径、形状を明らかにすることが出来た。今後は、これらの構造と物性を明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたゲルの構造および物性の調査を行う。 構造は、X線を用いた小角散乱測定とその解析、NMR測定を行うことにより明らかにする。 物性については、ゲルのイオン導電性測定を行う。陽イオンや陰イオンの種類・組成を変化させて、イオン導電性に与える影響を調査する。
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Causes of Carryover |
初年度は合成や粒径測定等あまり経費を必要としない作業に専念したため、次年度使用額が生じた。次年度以降は、様々な測定を行い、データを出してゆく。
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