2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of electrochemical measurement method under ultra-high pressure and application to battery reaction analysis
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21K05258
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 陽祐 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80752914)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高圧力 / 電気化学 / リチウムイオン電池 / 電析反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン電池(LIB)の更なる高容量化に向け、Li金属の溶解・析出反応を利用した負極開発への期待が高まっている。Li負極の開発における課題は、充電時に析出するLi金属の形態制御である。Liは充電反応時に樹状結晶(デンドライト)が析出しやすく、この結晶が正極まで成長すると電池内が短絡し、爆発・発火を生じる危険性がある。このため、どのような条件で、どのような形状のLiが析出するか明らかにすることが重要である。これらの背景を踏まえ、本年度の研究では、LIB用有機電解液中におけるLi金属の電析反応に及ぼす圧力の影響の調査を行った。 具体的には1 M LiPF6/EC+DEC(1:1vol.)電解液中におけるLi金属の電析反応を、大気圧~0.4 GPaの圧力範囲で調査した。定電流電析に伴うクロノポテンショグラムを解析することで、金属Li結晶核の生成・成長に必要な過電圧を定量化し、電析生成物の形態を大気非暴露の電子顕微鏡観察により調査した。電流密度を0.13 mA/cm2と1.3 mA/cm2の2種類で変えて比較したところ、Liの析出形態におよぼす圧力の影響に差異が見られることが明らかとなった。0.13 mA/cm2で電析を行った場合、大気圧下(0.1 MPa)では太さが約2~10μmのデンドライト状の結晶が析出したが、0.13 GPaでは、デンドライトの析出は起こらなかった。一方、1.3 mA/cm2で電析を行った場合、大気圧下ではデンドライト析出は生じなかったが、0.13 GPaでは太さが約0.5~2μmのデンドライト状のリチウムの析出が確認された。交流インピーダンス測定とクロノポテンショグラムの解析により、圧力が高くなるほど結晶核生成に必要な過電圧が増大し、Li+の拡散抵抗が増大することがわかった。核生成過電圧とイオン拡散抵抗のバランスにより、析出形態の違いが生じたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施期間は3年間である。1年目に高圧実験のための装置開発を行い、2年目からはその装置を用いた電気化学実験を開始する計画をたてた。 今年はその2年目に該当し、研究目的としたリチウムイオン電池電極反応の1例として、リチウム金属負極の反応に関する研究を実施した。リチウム金属の析出形態が圧力に影響を受けて変化する様子を明瞭に確認することができたので、当初計画通り、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究では最大圧力を0.13 GPまでに限定した実験を行ったが、この理由はこれ以上高い圧力になると液体電解液が凝固してしまい、電解液のイオン導電性が消失して電気化学実験を行えなくなるからである。より高い圧力での実験にむけて、3年目の研究では、液体電解質ではなく固体電解質を用いた実験に発展させたいと考えている。
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