2021 Fiscal Year Research-status Report
高効率水素製造を可能とするガス分離セラミックス多孔体に関する研究
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21K05265
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
高橋 誠治 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 特任主席研究員 (90236290)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素製造 / ガス分離 / 多孔体 / アルミナ |
Outline of Annual Research Achievements |
水素製造の主流は、ナフサなどの水蒸気改質反応により合成され、圧力スウィング法や低温蒸留法により水素が分離され、商用されている。より効率的に水素を分離するために、ポリマー膜、パラジウム膜、非晶質シリカ膜などが検討されているが、さらに効率的かつ低コストの方法が望まれている。多孔体の孔径を数十nmに制御することで、水素と二酸化炭素を分離する研究がなされており、この方法であればその目標を達成できる可能性がある。申請者らは、多孔質球状粒子を原料として用い多孔体を合成することで、均一分布したサブミクロンの孔径の多孔体の合成に成功している。これら技術を融合させることで、量産可能な高効率水素分離多孔体の製造が可能と考えられ、これを目的として研究を行っている。 多孔体の成分として、構造セラミックスとして実績のあるアルミナを用いた。アルミナ多孔質球状粒子は噴霧熱分解法で合成した。原料として、硝酸アルミニウム9水和物、クエン酸、アンモニア水をもちいて、溶液を超音波振動子によってミスト化する。ミストを一定流量の空気で、高温に保持した、電気炉に導入し、出口側に用意した捕集器で粒子を回収する。得られた粒子を成型し、1400℃で焼成することでアルミナ多孔体を得る。現状、開気孔率約50%、孔径は0.3μm程度の多孔体が得られることがわかった。 現状の粒子径は約1μmで、この粒子の成型時の隙間が、多孔体の孔径に近いと予想される。したがって、孔径をより小さくするための方法として、原料粒子の小粒径化が考えられる。現在、上記多孔質粒子の粉砕、小粒径化を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルミナ粒子の粉砕は非常に困難である。噴霧熱分解法で合成した粒子を800℃焼成した粉末を、ジルコニアボールで湿式粉砕(遊星ボールミル)したところ、X線粉末回折での評価で、アルミナとジルコニアが同レベルのピークが観察され、相当量のジルコニアが混入することがわかった。そのため、粉砕方法を乾式法に切り替え、ジルコニアの混入のない状態で小粒径化を進めている。この粒子を成型し、焼成し、評価を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
孔径を小さくする方法として、原料多孔質粒子の小粒径化を進める。方法としては、乾式粉砕法を用いて、不純物の少ない多孔体の合成を目指す。噴霧熱分解法で得られた多孔質球状粒子を種々の温度で焼成することで、粒子レベルでの、気孔率や孔径が調整可能と考えられるので、上記方法での影響を検討する。 また、噴霧熱分解法で得られた粒子中には、クエン酸由来の成分が多く残存しているため、これらを適切量の残存量となるように、洗浄等の操作をすることで孔径を制御できる可能性がある。この操作についても上記プロセスと組み合わせて、気孔率、孔径との関係を明確にする。
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