2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内のグアニン四重鎖を可視化するLight-up型蛍光リガンドの開発
Project/Area Number |
21K05267
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
飯田 圭介 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (70719773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖 / G4 / G4リガンド / 蛍光化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
グアニン四重鎖 (G4) は、グアニン豊富な核酸上で形成される高次構造であり、細胞内において核酸が担う複製、転写、スプライシング、翻訳など多岐にわたる機能の起点となるだけでなく、がんや筋萎縮性側索硬化症 (ALS) などの疾患の創薬標的としても注目を集めている。これらG4の機能解明にあたっては、シークエンシングによるG4の配列同定、抗体に加えG4と特異的に結合する化合物、G4リガンドが重要な役割を果たしてきた。一方、申請者はこれまでにG4リガンドとして白金サルフェン錯体や大環状ピリドンペンタマーを合成している。本年度では大環状ピリドンペンタマーの構造活性相関に取り組んだので報告する。 大環状ピリドンペンタマーはその環状構造によりカチオンと配位可能であり、G4を形成するG-quartetに配位しているカチオンを介してサンドイッチ型にπ-π相互作用するのに有利であることが期待される。さらに側鎖に水溶性や核酸との静電相互作用向上を見込んだエーテルやアミン、またHuisgen環化が可能なアジドを導入した。こうして設計・合成された新規誘導体はFRET融解実験で既知のG4を安定化することが確認された。また、カチオン中における大環状ピリドンペンタマーとG4との相互作用をCDスペクトルにより解析した。その結果、期待通りカリウムとセシウム存在下において当該化合物はG4と高い結合能を示すことが明らかとなった。最後に、細胞内におけるG4との結合を確かめるため化合物処理を行った。固定・透過処理した細胞に化合物処理後、化合物のアジド基に蛍光修飾したシクロオクチンを反応させることでこれを可視化した。その結果、蛍光は核に局在し、この局在はDNaseによって消失した。これは、当該化合物が細胞内のDNA G4を可視化したことを示唆している。
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