2022 Fiscal Year Research-status Report
Reactivity of acrolein produced by cancer cells: Application to selective cancer therapy
Project/Area Number |
21K05269
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクロレイン / プロドラッグ / アジド / クリック反応 / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、がん細胞においてアクロレインが特異的に大量発現していることを発見した。さらにイソプロピル基を導入したフェニルアジド分子を用いることにより、細胞から産生されるアクロレイン分子を選択的に捕捉できることを見出した。このフェニルアジド分子に蛍光基を結合させることで、乳がんの温存手術中にがんを5分で高選択的に診断する汎用的技術を世界に先駆けて実現した。そこで本研究では、(1)どのようながん細胞でもアクロレインが過剰に発現していること、さらに(2)がん細胞内でフェニルアジドとアクロレイン分子が選択的に反応することを巧みに利用して、細胞内、さらには動物内のがん組織内でアクロレインと反応した際に抗がん活性分子を放出するプロドラッグ法を新たに考案した。 アクロレインと反応することによって効率的に薬剤を放出する”self-immolation”リンカーをデザインし、数ステップで薬剤を導入できる合成法を確立した。様々な抗がん活性分子を導入したプロドラッグ分子を用いてがん細胞、さらにはマウスに生着させたがん組織に対して検討を行ったところ、プロドラッグ分子をがんに直接注射した場合でも静脈注射した場合にも顕著な治療効果を確認した。このように、アクロレインをターゲットとした副作用のない「生体内合成化学治療」を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々はがんの種類に問わずアクロレインが特異的に発現していること、さらにそのアクロレインがフェニルアジドと選択的に反応することを見出した。このアジド-アクロレイン反応を利用することによりアミノ基が脱保護される機構を開発し、がん細胞選択的に薬分子を送達するプロドラッグの合成に成功した。本研究ではさらに幅広い抗がん剤のプロドラッグ化を目指し、水酸基が脱保護される化合物を新たにデザインした。この化合物はがん細胞中のアクロレインと反応しジアゾ化合物に変換された後、架橋部分が自発的に切断される反応により活性な抗がん剤が放出される。これらの化合物について細胞及びマウス内における活性の評価を行ったので。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今年度終了します。
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