2023 Fiscal Year Annual Research Report
Terminal hydroxylation by cytochrome P450s induced by dummy substrates
Project/Area Number |
21K05271
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有安 真也 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (50586998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シトクロムP450 / 擬似基質 / 末端水酸化 / 非天然基質 / CYP153 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、シトクロムP450に擬似基質を添加して、化学的に反応性の低い末端の1級炭素に選択的に水酸基を導入する技術の創製を目指して研究を行っている。昨年度までに、自然界で長鎖脂肪酸の末端を水酸化しているCYP153の一種CYP153A33が擬似基質存在下、プロパンの1級炭素を約80%の選択性で水酸化し、1-プロパノールが優先的に得られることを明らかにした。また、擬似基質には多様性の乏しいフッ素修飾擬似基質が有効に機能することを明らかにしていた。2023年度は本計画の最終目標である分子の両末端に水酸基を導入してジオールへの変換を行うために、CYP153A33の擬似基質の適用範囲の調査を行った。これは目的の両末端水酸化のためには、基質との相互作用可能な官能基を擬似基質末端に導入する必要があり、構造多様性の高い非フッ素修飾擬似基質でCYP153A33に適応する分子骨格を見つける必要があった。しかし、いずれの擬似基質も効果を示さず、CYP153A33の擬似基質特異性が非常に高いことが明らかとなった。ただし、フッ素修飾は免れないものの、擬似基質の酵素表面側は従来のアミノ酸型ではなく、安息香酸型でも機能することを明らかにし、CYP153A33に適した擬似基質の開発に対して、有用な知見を得られたと言える。目的の両末端水酸化に適した擬似基質の開発には至らなかったが、CYP153A33の持つ特徴的な狭い反応空間を活かし、エタン、メタンの水酸化を行ったところ、従来のP450BM3よりは反応速度は劣るものの、擬似基質存在下でのエタン、メタンの直接水酸化が進行可能なことを明らかにし、CYP153類の新たな応用方法を開拓することに成功した。
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