2021 Fiscal Year Annual Research Report
Novel protecting strategy for the synthesis of fucosylated glycoproteins
Project/Area Number |
21K05275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝比奈 雄也 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (10737232)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖タンパク質 / 糖ペプチド / フコース / 酸感受性保護基 |
Outline of Annual Research Achievements |
フコースは、糖タンパク質に含まれる6炭糖の1つで、酸感受性が極めて高いことが知られている。この性質により、ペプチド固相合成の最終段階で行われる酸性条件下での脱保護処理で、フコシド結合が加水分解をしてしまうため、フコース含有糖ペプチドの合成は困難であった。そこで、本研究では、酸感受性の高いフコースへ、一時的に酸耐性を付与する方法を検討し、フコースを持つ糖タンパク質の新規合成法を開発することとした。 様々な保護様式をもつフコースをペプチドに組み込んだ疑似糖ペプチドを作成した。次に、得られた疑似糖ペプチドを固相合成法の最終処理に利用されるトリフルオロ酢酸(TFA)中に溶解し、その安定性を検証した。その結果、フコースのグリコシド結合(フコシド結合)は、フコース水酸基の保護基の性質に大きく影響を受けることがわかった。すなわち、ベンジル系保護基のように、電子供与基は、TFA中でのフコシド結合を不安定化する一方、アシル系保護基のような電子求引性の保護基では、フコシド結合を安定化することがわかった。さらなる検討の結果、糖水酸基2位に4-メチルベンジル基、3,4位にレブリノイル(Lev)基を組み合わせた保護様式が、フコシド結合の酸安定性と合成ルートの簡便さを両立することがわかった。 次に、実践的な糖ペプチド合成への応用を行った。合成ターゲットとしては、最も単純なFuc-α-(1-6)-GlcNAcの2糖を選んだ。目的の糖鎖骨格を持つ糖アミノ酸を合成し、ペプチド固相合成法に応用した。TFAを用いた最終脱保護をしたところ、Lev基によりフコシド結合が安定化され、問題となっていたフコースの加水分解反応を完全に抑制できることがわかった。最後に、中世緩衝溶液中でヒドラジンを作用させることでLev基を選択的に除去することに成功した。以上の検討により、新規フコース含有糖ペプチド合成法の開発に成功した。
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Research Products
(6 results)