2022 Fiscal Year Research-status Report
小胞体グルコース転移酵素が有するシャペロン機能の解析
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21K05282
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
武田 陽一 立命館大学, 生命科学部, 教授 (20423973)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オリゴマンノース型糖鎖 / UGGT / SelenoF / 糖タンパク質品質管理機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
UGGT1はセレノプロテインF(SelenoF)とヘテロ二量体を形成することが知られているが、その複合体形成の詳細は不明であった。UGGT-SelenoF複合体による糖タンパク質のリフォールディングへの寄与を明らかにするため、本年度は、UGGT1に対するSelenoFの結合位置の同定および、複合体内でのSELENOFの可動域を明らかにする研究を行った。プルダウンアッセイによりSelenoFがUGGT1のTRXL2ドメインに結合することを明らかにした。さらに、新たに開発した光親和性架橋剤をSelenoFのシステイン残基に選択的に導入し、UGGT1に対するSelenoFの空間的配向の決定を試みた。その結果、SelenoFは合成架橋剤を介して、UGGT1のTRXL3領域およびβS2とGT24の間のドメインにあるアミノ酸と共有結合を形成していることが確認された。UGGTのSelenoF結合ドメインとその相対的な位置関係を明らかにすることで、SelenoFの機能を予測するための重要な知見が得られたと考えている。 一方、UGGTと同様に小胞体糖タンパク質品質管理機構において重要な役割を果たすEDEM2(ER Degradation Enhancing Alpha-Mannosidase Like Protein 2)はUGGTと同じ糖鎖構造を基質とすることが知られている。そこで、UGGTとEDEM2がどのように基質を選別するかを明らかにするため、アグリコン部分に様々な分子を導入した糖鎖基質を合成した。また、合成した、一部の糖鎖基質と昨年度に構築した昆虫細胞発現系で得られた高純度のUGGT1を用い、種々の糖鎖基質に対するUGGT活性評価および、共同研究により開発した新規UGGT阻害剤の活性評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、UGGT1に対するSelenoFの結合位置の同定および、複合体内でのSELENOFの可動域を明らかにすることができた。さらに、システイン型のSelenofを大腸菌発現系を用いて調製する事ができたため、様々なアグリコンを有する合成糖鎖基質に対し、UGGT活性に対しSelenofの有無によってどのような影響を与えるか検討を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
システイン型のSelenofと、すで昆虫細胞発現系で得られているヒトUGGT1との結合を等温滴定熱量計などを用いて定量するとともに、UGGT-SelenoF複合体の構造解析に供するサンプルの調製を行う予定である。また、この複合体が、UGGT1単独に比べて糖タンパク質のリフォールディング効果を上昇させるか検討を行う。その後、セレノシステインを含むSelenofの発現系構築に向けて取り組む。
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