2023 Fiscal Year Annual Research Report
固相ライブラリー戦略に基づくペプチド系天然物の精密構造制御と新機能創製
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21K05286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 寛晃 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (20758205)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 化合物ライブラリー / 天然物有機化学 / 固相合成 / 構造活性相関 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミトコンドリアに存在するFoF1-ATP合成酵素を標的とする天然物の精密構造制御とこれに基づく新機能創製を目的とする。構造基盤分子としてエフラペプチンCを選択し、本天然物の効率的な固相全合成法の確立と構造多様化戦略に基づく類縁体群の構築および生物活性評価を実現し、新規機能分子の創出を目指す。 最終年度における重要な進展は、以下のとおりである。 (1) 前年度に得たエフラペプチン類縁体群を対象として、詳細な構造・機能解析を実施した。FoF1-ATP合成酵素に対する直接的な作用や細胞選択性、配座特性を複数の方法によって評価し、各類縁体が示す性質の差異や、がん細胞増殖抑制活性との相関を明らかにした。また、類縁体の化合物安定性についても評価を実施した。その結果、天然物よりも強力ながん細胞増殖抑制活性を示す類縁体について、天然物に比して優れた安定性を示す可能性を見出した。(2) エフラペプチンと同様にFoF1-ATP合成酵素に作用し、顕著ながん細胞増殖抑制活性を示すペプチド系複雑天然物ヤクアミドBに関する機能解析を推進した。天然物類縁体から導いた複数のケミカルプローブを用いて、相互作用タンパク質に関する解析を推進し、結合様式に関して新たな知見を得た。 全期間を通じて、以下の(a)および(b)を達成した。 (a)多数の2-アミノイソ酪酸残基、ピペコリン酸残基、特徴的なC末端ユニットを含むエフラペプチンCを、効率的に構築可能な固相合成法を確立した。本法により、新規エフラペプチンC類縁体群の構築を達成した。(b) 詳細な構造機能解析により、(a)で得られたエフラペプチンCおよび類縁体群から、天然物よりも優れた生物活性・安定性を示す新規類縁体を見出した。ヤクアミドBの機能解析でも多くの重要な発見があった。
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