2022 Fiscal Year Research-status Report
海洋シアノバクテリア由来の生活習慣病治療薬リード化合物の探索と作用機序の解析
Project/Area Number |
21K05291
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
照屋 俊明 琉球大学, 教育学部, 教授 (90375428)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋シアノバクテリア / 3T3-L1前駆脂肪細胞 / トリグリセリド / リポペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋シアノバクテリアを材料として、肥大化脂肪細胞に蓄積したトリグリセリドの分解を促進する化合物を探索した。その結果、八重瀬町具志頭付近の海岸で採集した海洋シアノバクテリアからデブロモアプリシアトキシンを単離した。次に脂肪分解作用機序の解明のため、脂肪分解に関係する転写因子やアディポカインなどの遺伝子の発現量をReal-Time-PCRを用いて調べた。その結果、脂肪細胞分化の必須転写因子であるPPARγのmRNA発現を抑制することが明らかとなったことから、脂肪細胞の肥大化を阻害(抑制)することで脂肪細胞を小型化する可能性が示唆された。さらに、デブロモアプリシアトキシンはアディポネクチンのmRNA発現を増加させた。アディポネクチンは脂肪酸のβ酸化を促進することが知られていることから、アディポネクチンの活性化により脂肪分解が促進された可能性が示唆された。以上の結果から、デブロモアプリシアトキシンは、肥大化脂肪細胞の脂肪分解を促進するとともに、細胞の肥大化を抑制する可能性が示唆された。また、糸満市大度海岸で採集した海洋シアノバクテリアから、前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化を促進する化合物としてオケアニアミドA, Bを得た。NMRを用いた各種機器分析によりオケアニアミドA, Bの平面構造を決定した。オケアニアミドA, Bのアミノ酸部位の絶対立体配置についてはMarfey法を用いて決定した。脂肪酸部位の絶対立体配置については分解フラグメントのスペクトルデータを合成品と比較することにより決定した。オケアニアミドの生物活性について、3T3-L1前駆脂肪細胞を用いてオケアニアミド A, Bは濃度依存的に前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化を促進することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デブロモアプリシアトキシンが肥大化脂肪細胞に蓄積したトリグリセリドを分解する作用機構についてPPARγの抑制とアディポネクチンの発現が重要であることが示唆された。また濃度依存的に前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へ分化を促進する新規リポペプチドであるオケアニアミドA, Bが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞へ分化を促進するOdookeanynes A, Bに類似ると考えられる化合物が得られている。得られた化合物については、化学構造式を解明し、薬理活性について評価する予定で去る。また引き続き海洋シアノバクテリアから脂肪細胞分化促進、肥大化脂肪細胞に蓄積したトリグリセリドの分解を促進する化合物を探索する。
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Causes of Carryover |
研究は予定通り進んだが、一部サンプルが採集できずに余剰分が生じた。研究課題は継続して実施する予定なので、次年度分として使用する予定である。
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