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2023 Fiscal Year Research-status Report

海洋生物由来新規キヌレニン産生阻害剤のがん免疫寛容抑制剤としての展開

Research Project

Project/Area Number 21K05295
Research InstitutionKogakuin University

Principal Investigator

大野 修  工学院大学, 先進工学部, 准教授 (20436992)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松野 研司  安田女子大学, 薬学部, 教授 (50433214)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
KeywordsKNP-1 / キヌレニン / センナリズタ / カウレルピン / IDO / RORγt / インバースアゴニスト
Outline of Annual Research Achievements

海洋シアノバクテリアOkeania sp.由来のキヌレニン産生阻害剤である新規環状デプシペプチドKNP-1の構造確定と応用展開を目指した研究を実施した。国立医薬品食品衛生研究所のご協力により、前年度合成したKNP-1の3つのフラグメントを連結し提唱構造のKNP-1を合成していただいた。しかしながら、合成品のNMRスペクトルが単離品のものとは一致しなかったことから、提唱構造に誤りがあることが判明した。そこで、KNP-1のアミノ酸配列のMS/MS解析と、立体化学の検証が不十分であった2-hydroxyisovaleric acid (Hiva) 部位の立体構造のキラルカラムによる解析を実施した。その結果、これまでに決定していたアミノ酸配列は正しかった一方、KNP-1のHiva部位の立体化学は、提唱構造ではRとしていたが実際はSであることが示され、KNP-1の構造が訂正された。
また、新たなキヌレニン産生阻害剤の探索により、緑藻の一種センナリヅタの抽出物にキヌレニン産生阻害活性を見出し、既知ビスインドール化合物であるカウレルピンを単離した。インドールを原料とした本化合物の合成も達成したため作用機序解析を試み、カウレルピンは細胞内でキヌレニン産生に関わるindoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)に選択的に作用することを見出した。
また、核内受容体RORγtとキヌレニン産生機構の相関に関して解析した。A431細胞においてインバースアゴニストであるXY018, TMP920処理により、IDOとその発現に寄与する転写因子STAT1の発現量が増加することが示された。この結果より、RORγtがキヌレニン産生のシグナル伝達を抑制する機構の一部が明らかとなり、今後、各種キヌレニン産生阻害剤の作用機序を解明するための重要な情報が得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新規キヌレニン産生阻害剤KNP-1と新たなキヌレニン産生阻害剤の作用機序解明に繋がる実験を通じて一定の成果が得られた。
海洋シアノバクテリアOkeania sp.由来の新規環状デプシペプチドであるKNP-1について、合成に基づく提唱構造の検証に取り組み、提唱構造に誤りがあることを見出した。そして、MS/MS解析とキラルカラムによる分析による構造の再検証を行い、提唱していたKNP-1の構造内の一か所の立体化学に誤りがあったことを解明し、構造の訂正に至った。
また、海洋生物を対象として新たなキヌレニン産生阻害剤の探索を試み、沖縄県で採集したセンナリヅタより単離したカウレルピンにキヌレニン産生阻害活性を見出した。本化合物について、インドールを出発原料とした合成にも着手し、量的確保も達成した。さらに、合成品を用いた作用機序の解析の結果、カウレルピンは、細胞内で代謝されることで生じた活性本体がIDOを選択的に阻害することでキヌレニン産生阻害活性を示すことを見出した。
また、KNP-1やカウレルピンが負に制御するキヌレニン産生機構に関して、RORγtによる活性調節機構についての解析を試みた。RORγtの活性を抑制するインバースアゴニストを用いた検証によって、2種類のインバースアゴニストがキヌレニン産生のシグナル伝達を促進する機構を明らかにできた。この結果は、他のキヌレニン産生阻害剤の作用機序を解明する上でも重要な情報となり得る。
以上の結果を踏まえ、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、KNP-1及び新たなキヌレニン産生阻害剤の作用機序の解明と応用展開に向けた研究に着手する。
KNP-1の合成の過程で得られた各種誘導体や合成中間体についてキヌレニン産生阻害活性を評価し、構造活性相関の解明に取り組む。また、KNP-1のプローブ化を試み、蛍光基導入プローブを用いた細胞内局在部位の解析やビオチン導入プローブを用いた細胞内の標的タンパク質の解析にも着手する。KNP-1のキヌレニン産生阻害活性のメカニズムについては、STAT1の核内移行を細胞の核画分と細胞質画分を分けてウェスタンブロッティング法による解析に供することで明らかにする。また、その下流のSTAT1のDNAとの結合や転写活性に与えるKNP-1の影響についても検討する。
また、センナリヅタ由来のカウレルピンは、細胞内の酵素によって代謝されることでキヌレニン産生阻害活性を示すことが推測された。そのため、細胞内におけるカウレルピンによるキヌレニン産生阻害活性の活性本体の解明を進めていく。
また、A431細胞を用いてRORγtのアゴニスト/インバースアゴニスト処理した際のRORγtの発現量変化をWestern blotting法により検証する。また、siRNA法によりRORγtをノックダウンした際のキヌレニン産生量やIDO, STAT1の発現量を評価する。その後、RORγt アゴニスト/インバースアゴニスト処理したA431細胞におけるRORγt活性をルシフェラーゼレポーターアッセイにより評価する。これらの実験を通じて、RORγtの活性化がキヌレニン産生機構を制御する機構を明らかにする。

Causes of Carryover

割り当て額に近い額を消費し研究成果自体は十分なものであったが、余剰分が生じた。補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や学会参加、論文投稿など)を理由に延長申請し、認めていただけたので、余剰分は次年度使用分として活用する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2024 2023

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] センナリヅタ由来のkynurenine産生阻害剤caulerpinの単離および機能解析2024

    • Author(s)
      上野航太郎、小岩井優、坂田優希、照屋俊明、松野研司、大野修
    • Organizer
      日本化学会第104春季年会(船橋)
  • [Presentation] 核内受容体RORγt活性とkynurenine産生機構の相関の解析2024

    • Author(s)
      長谷部友花、里中彗伊太、武田翔太、大野修、松野研司
    • Organizer
      日本化学会第104春季年会(船橋)
  • [Presentation] Kynurenine産生機構における核内受容体RORγtの寄与2023

    • Author(s)
      長谷部友花、里中彗伊太、武田翔太、大野修、松野研司
    • Organizer
      第13回 CSJ化学フェスタ2023(東京)
  • [Presentation] センナリヅタ由来のkynurenine産生阻害剤caulerpinの単離と機能解析2023

    • Author(s)
      上野航太郎、小岩井優、坂田優希、照屋俊明、松野研司、大野修
    • Organizer
      第13回 CSJ化学フェスタ2023(東京)
  • [Presentation] センナリヅタ由来の kynurenine 産生阻害阻害剤 caulerpin の単離と機能解析2023

    • Author(s)
      上野航太郎、坂田優希、照屋俊明、松野研司、大野修
    • Organizer
      第10回工学院大学先進工学部イノベーションフォーラム[Innovation Forum of Advanced Engineering and Education(IFAEE)](八王子)

URL: 

Published: 2024-12-25  

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