2023 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病病態改善ペプチド因子の産生制御と抗老化因子としての役割
Project/Area Number |
21K05296
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
新倉 貴子 上智大学, 理工学部, 教授 (10301491)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ペプチド / 生理活性分子 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病の病態改善作用を持つペプチド因子ヒューマニンは、その遺伝子がミトコンドリアゲノムに存在するミトコンドリア由来ペプチド群の代表である。近年の研究で、ヒューマニンが筋細胞や膵臓B細胞など神経系以外の細胞にも作用があること、HNがミトコンドリアでのエネルギー産生促進作用を有すること、ヒトとげっ歯類の血液中のヒューマニン量は加齢とともに減少することがわかってきている。これらのことから、ヒューマニンと加齢に関連する疾患や老化そのものとの関連性が注目されている。本研究では、『抗老化因子』のひとつであるヒューマニンの役割を検証することを目的とした。 培養細胞の老化モデルを用いて、神経細胞の細胞老化に対するヒューマニンの直接的な影響を検討し、ヒューマニンが薬剤誘導性の細胞老化を抑制する結果を得た。また、神経伝達物質分泌に対するヒューマニンの作用についても検討した。また、マウスの体内でのヒューマニン量を正確に知るための測定系の構築を進めた。ヒューマニンのアミノ酸配列がヒトとマウスで異なることを利用し、マウスのヒューマニンを特異的に検出する抗体を得ることができた。その抗体を用いて、検出方法やサンプルの前処理を含めて検討を進めた結果、ある程度の検出感度を得ることができたが、組織によって夾雑物が異なることからその影響が今後の課題であることがわかった。さらに、老化モデルマウスにおけるヒューマニンの作用について、老化による運動能力や認知機能などの低下を行動試験で評価し、ヒューマニンの効果を確認することができた。使用動物数が限られたため、脳での遺伝子発現などの分子生物学的解析のための試料を得るため、今後も継続して検討を続ける予定である。
|