2021 Fiscal Year Research-status Report
抗体軽鎖配列の組み合わせと抗原への交差反応性の関係
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21K05300
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大島 信子 藤田医科大学, 国際再生医療センター, 講師 (60387694)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗体軽鎖 / 交差反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ファージディスプレイ技術を基に作製されたファージ抗体ライブラリーから単離された抗体群を対象にして、1種類の抗体重鎖配列に対する複数の軽鎖配列の組み合わせがインフルエンザウイルス株への交差反応性に及ぼす影響を、様々な軽鎖配列との組み合わせで検討し、抗原認識における軽鎖配列の役割を明らかにすることが目的である。当該年度では、重鎖に対し異なる軽鎖配列の組み合わせを持つ抗体群の抽出を行った。ファージディスプレイ技術により作製したヒトファージ抗体ライブラリーでは、1種類の重鎖配列に対し様々な種類の軽鎖配列との組み合わせを持つことが可能である。したがって、その抗体ライブラリーのインフルエンザウイルス株でのスクリーニングによりこれまでに取得した5000個以上の抗インフルエンザウイルス抗体クローンを解析対象とした。重鎖VH領域が同じアミノ酸配列を持つ抗体クローンを抽出し、その軽鎖VL領域の塩基配列解析を実施した。その結果、同じ重鎖VH配列に対し、同じ軽鎖VL領域配列のみを持つ抗体だけでなく、2種類以上のVL領域配列の組み合わせを示すVH配列の存在を確認した。解析済みの抗体をこの2つの抗体群に分類し、重鎖VH配列をもとにそれぞれの抗体群に含まれる抗体の種類を比較したところ、複数の組み合わせが可能であった重鎖VH配列は、固定された組み合わせよりも多く、50%以上であった。複数種類の抗体軽鎖配列との組み合わせが可能である抗体重鎖配列が多数存在することから、抗原の認識に対する重鎖、軽鎖の貢献度がそれぞれの組み合わせで異なる可能性が示唆される。複数のVL配列の組み合わせを持つ抗体集団については、2種類ある軽鎖のκ鎖およびλ鎖での分類、さらに、VL領域の由来となるGermline gene (生殖細胞系列遺伝子)の検索とその種類での分類を行うことによりさらに解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に計画していたクローンの解析数がやや少なく、交差反応性解析も遅れているため、やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画通りに進めていく予定である。ファージディスプレイシステムをもとに作製したヒトファージ抗体ライブラリーから単離した抗インフルエンザウイルス抗体のうち、未解析のクローンの解析を行い、その軽鎖の塩基配列解析を行う。軽鎖解析済みの抗体群から、重鎖に対し複数の軽鎖配列を持つ抗体のみを抽出し、軽鎖の種類、軽鎖アミノ酸配列およびその由来となるGermline gene(生殖細胞系列遺伝子)による分類を行う。さらに、抽出した抗体群それぞれに対し、複数のインフルエンザウイルス株に対する交差反応性をインフルエンザウイルス株でELISA法により確認し、軽鎖の組み合わせにより交差反応性の範囲が変化する抗体群を選びだす。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初予定していたクローン解析数を下回る結果となったため費用が抑えられた。その準備に必要となる消耗品に関しても、すでに単離済みサンプルが多数存在していることが判明し、最小限となった。さらに、抗体クローンの交差反応性解析を実施しなかったため、消耗品の消費も最小限に抑えられ、これらの費用の消費も抑えれらる結果となった。翌年度は、解析対象クローンの準備から入り、かつ解析数も増加予定であるため、その解析に費用を使用する予定である。また、抗体クローンの交差反応性抗体解析に使用する消耗品の増加が見込まれることから、これら解析および消耗品購入に使用する予定である。
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