2022 Fiscal Year Research-status Report
SATIC法による細胞内マイクロRNAイメージング技術の開発
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21K05317
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
桑原 正靖 日本大学, 文理学部, 教授 (40334130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 博仁 日本大学, 文理学部, 助手 (60822244)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | miRNA / バイオマーカー / イメージング / 等温遺伝子増幅法 / Point of Care Testing |
Outline of Annual Research Achievements |
本法ではこれまでにmRNAの特異的検出系の開発を行ってきた。mRNAとは異なり、miRNAは20mer程度の短鎖であるため、増幅反応における開始複合体の形態を最近接塩基対パラメータ(nearest neighbor parameters)を用いた核酸の安定性予測に基づいて引き続き検討を行った。さらに、反応の増幅効率について、進化分子工学的手法により検証したところ、増幅反応の初期に生成するヌクレオチド断片の配列に大きく依存することが示唆された。また、前年度までに配列が異なる複数の標的を同時に検出するための蛍光プローブの作製を目的として、マラカイトグリーン等の誘導体を新たに合成したが、水溶性等の問題があった。そこで、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を利用して発光波長をレッドシフト(長波長化)させた蛍光プローブを設計し、その作製を検討した。G4に対する蛍光プローブとして、ThTをドナーとしスチリルベンゾチアゾール(SB)をアクセプターとするFRET型蛍光プローブ(ThT-SB)を合成し、標的のG4存在下で発光波長がレッドシフトするか否かを検討したところ、SBThT-AEの励起波長(λex = 420nm)を照射すると、G4存在下でのみSB由来の発光(λem,max = 596nm)が観測された。これは期待したとおり、励起波長照射下でThT-SBのThT部位がG4に結合し、そこからSB部位にFRETが生じたことを示唆している。懸案の水溶性については比較的良好であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、今回、増幅反応の効率化において、反応の開始複合体の形成の他に増幅反応の初期に生成するヌクレオチド断片の配列が重要であろうという知見が得られたことは、検出系の構築に大変有意義であると考えられることが挙げられる。さらに、複数の標的を同時に検出するために、FRETを利用したプローブ設計が、概ね予期したように(蛍光)特性をもたらすことが分かった点などが主な理由として挙げられる。プローブの各部位にイオン性置換基を導入し水溶性を高めることができたこと等も挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
癌関連マーカーの定量検出系を構築するにあたり、夾雑物の影響やバックグラウンド発光の多寡に係る検討に加え、引き続き、今回独自に確立した進化分子工学的手法による増幅反応初期の生成ヌクレオチド断片(増幅子)の配列等を精査する。また、FRETにおける発色団の組み合わせを代えることによる発光波長の多様化や、ドナー・アクセプター間の距離の改変によるFRETの効率化についても検討し、蛍光顕微鏡下における特性評価を行う予定である。
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