2023 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical biology for dimorphism in Candida spp
Project/Area Number |
21K05319
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
二村 友史 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (70525857)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カンジダアラビカンス / 二形性 / 抗真菌剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
日和見感染症の原因菌の1種であるヒト病原性真菌カンジダアラビカンスは、環境に応じて酵母や菌糸に変態する性質―二形性―を有している。この性質はカンジダの病原性発現との関連が示唆されており、その理解と制御は新しい抗真菌剤の開発において非常に重要な課題である。本研究では、天然物資源(微生物培養エキスおよび理研天然化合物ライブラリー)や遺伝子資源(カンジダヘテロ接合体変異株コレクション)を使ってカンジダの二形性に影響を与える小分子化合物や遺伝子を探索し、それらをプローブとした二形性制御メカニズムの理解、および新規治療薬開発に資する創薬リードや創薬標的の提示を目指した。 ケミカルアプローチとしてカンジダの形態変化を指標にしたスクリーニングを実施した。数万種類に上る微生物エキスや天然化合物ライブラリーを評価し、一放線菌の培養エキスに二形性を撹乱する活性を見出した。種々のカラムクロマトグラフィーを使った単離精製で、活性物質をイソシアニド化合物と同定した。さらに本化合物がカンジダの出芽を抑制すること、またその活性には金属キレート活性が重要であることを見出した。ゲノムアプローチでは、約5000種のカンジダ遺伝子変異株を1株ずつ培養して、二形性に影響を与える遺伝子変異を探索した。1次スクリーニングで約400株を選び出したが、再現性を確認し、顕著な二形性撹乱活性を示す47株を選定した。 独自の表現型スクリーニング系と探索リソースを組み合わせたケミカルバイオロジーにより、カンジダの二形性制御機構解析の鍵となる化合物や遺伝子を得た。今後、カイコを使った感染モデルで化合物の薬効や遺伝子変異株の病原性を評価し、新しい創薬研究の足掛かりにしたい。
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