2023 Fiscal Year Annual Research Report
Gene expression analysis of arbuscular mycorrhiza at the stage of symbiotic collapse
Project/Area Number |
21K05329
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
小八重 善裕 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (60456598)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 菌根共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、菌根共生の共生ステージマーカーイネを用いて、菌根共生の発達だけでなく崩壊ステージの遺伝子発現をモニターし、その崩壊特異的な遺伝子発現プロファイルから、菌根の発達につながる崩壊のメカニズム、そしてその生物学的な意義にまで理解を進めようとした。結果的に、感染単位から、各共生ステージの遺伝子発現プロファイルを調べることは現段階の技術では困難であった。一方で、本研究の目的の一つは、基礎的研究を超えて、圃場レベルでこの共生の発達を理解し、実践的に応用しようとするものであり、その場合、土着の菌根菌の存在についても考慮する必要があった。土着の菌根菌は極めて多種多様であり、その個別の感染動態を追跡して、その遺伝子発現プロファイルを、未知の菌根菌についても調べられることが、本研究計画の強みであり、ユニークな点であった。 そこで、土着の菌根菌の共生ステージについても解析を行うことにした。本研究はもともと、数日の短い期間における「発達」と「崩壊」のサイクルに着目してきたが、そのサイクルの駆動力として、植物側からの光合成産物の供給など、植物の栄養生理的な要素も大きく関わると予想されたことから、もっと長いタイムスパンの、「発達」と「崩壊」についても考慮した。すなわち、若い栄養生長期の植物サンプル(ごく若い実生)に加えて、開花期、子実の登熟期、作物以外の冬季の草(冬草:雑草)、枯死した根などまで解析の対象とした。その結果、驚いたことに、通常の菌根菌(アーバスキュラー菌根菌)とは逆の感染サイクルを持つ菌根菌を発見した。時間あるいは日単位で考えていた菌根の共生サイクルが、もっと長い時間軸で調べられなければ、実際の農業の生産現場には、実践的に応用できない可能性が急浮上した。今後はこの新しい菌根菌の生物学的、農業的な意義について、研究を深めていくことが重要である。
|