2022 Fiscal Year Research-status Report
Search and functional analysis of maturation genes for syntrophic propionate oxidation using genomic information
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21K05343
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高坂 智之 山口大学, 大学研究推進機構, 准教授 (70500453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 峰之介 東京農業大学, その他部局等, 研究員 (70380558)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 成熟化遺伝子 / コハク酸デヒドロゲナーゼ / ヒドロゲナーゼ / 補酵素 / ゲノム情報 / プロピオン酸酸化細菌 / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ゲノム情報を基にした成熟化候補遺伝子の選抜:これまでに決定された微生物のゲノム情報を活用して、[NiFe]ヒドロゲナーゼ(HYD)を対象とした成熟化候補遺伝子の分析を試みた。ゲノムデータベースを活用して、HYDの活性サブユニットのホモログ遺伝子をもつゲノムにおける遺伝子クラスター解析を試み、活性サブユニットの進化系統とその成熟化に関わる遺伝子のクラスター群を分類して可視化できる可能性を示唆した。また、この結果から大腸菌はプロピオン酸酸化細菌のHYDを機能的に発現させるための遺伝子セットを有している可能性が示唆された。 (2) 成熟化候補遺伝子群の機能解析:HYDの成熟化に関わる遺伝子のうち、新たにhypAとhypDをエンドペプチダーゼhyaDに加えて大腸菌で発現し、その機能補完能を解析した。残念なことに、これらのプロピオン酸酸化細菌のホモログは大腸菌の機能を補完しなかった。一方、エンドペプチダーゼ hyaD は、大腸菌のhyaDだけでなくhybDの機能も補完できることを示した。 (3) 成熟化が必要な酵素の機能化解析について:酵素機能の成熟化について、SDHの解析を進めたところ、プロピオン酸酸化細菌のSDHは大腸菌で発現していないことが明らかとなったが、宿主株を変更することでサブユニットはそれぞれ発現可能であった。ただし、コハク酸酸化を担うサブユニットは発現させただけでは補酵素が結合しておらず、さらにin vitroでの補酵素の結合も見られないことを明らかにした。一方、プロピオン酸酸化細菌と近縁であるコリネ型細菌のSDHは、大腸菌で全サブユニットの同時発現により活性が見られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成熟化遺伝子の探索方法と解析用菌株の構築は概ね計画通りに進行している。また、大腸菌において異種タンパク発現を行う際に利用する発現系に関する新たな知見を得た。そして、成熟化候補遺伝子は部分的に大腸菌において機能を確認できている。一方、成熟化が必要な酵素の機能化はまだ未達である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ゲノム情報を基にした成熟化候補遺伝子の選抜:進めてきた成熟化遺伝子の発見手法をHYDを対象に確立することで、活性サブユニットの進化系統とその成熟化に関わる遺伝子のクラスターが分類可能であり、それらを可視化できることをさらに示したいと考えている。そこで、現在はプロピオン酸酸化細菌のHYD4を中心に解析を行なっているが、これを他のヒドロゲナーゼや機能的に類似しているギ酸デヒドロゲナーゼでも進めるとともに、再度SDHの成熟化に関わる遺伝子の解析を実施し、確立した解析手法が妥当であることを示す。 (2) 成熟化候補遺伝子群の機能解析:まだ残されているHYD4の成熟化候補遺伝子の機能解析を大腸菌の一遺伝子破壊株ライブラリーを活用して実施する。これからは、酵素活性の強弱により機能補完を確認する方法を確立し、大腸菌のホモログ破壊株の機能補完を解析していく。また、大腸菌においてパラログがある遺伝子の多重破壊株の構築を進め、全てのHYD4成熟化候補遺伝子の機能解析を試みる。 (3) 成熟化が必要な酵素の機能化解析について:SDHに関しては、コリネ型細菌のSDHの解析を進めて、グラム陽性菌SDHの補酵素結合機構に関与する因子を特定することで、大腸菌で発現させたプロピオン酸酸化細菌のSDHの機能化を目指す。一方HYD4の機能化は、これまで機能化に最も必要と考えていたエンドペプチダーゼhyaDが機能補完できることが示唆されたことから、現在はタンパク質発現に問題があると考えており、宿主菌株の改変や発現確認を行うことによる状況確認を進め機能的発現を目指す。
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Causes of Carryover |
最終年度に学会発表や論文出版を控えており、成果の報告を実施しながら研究を進めるために予算を繰り越した。
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Research Products
(2 results)