2022 Fiscal Year Research-status Report
Identification of D-amino acid metabolic pathways in hyperthermophile
Project/Area Number |
21K05348
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宮本 哲也 北里大学, 薬学部, 助教 (10739238)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | D-アミノ酸 / アミノ酸ラセマーゼ / アミノ酸アミノトランスフェラーゼ / O-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼ / 多機能型酵素 / 超好熱菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超好熱菌 Thermotoga maritima における新規のD-アミノ酸代謝経路を明らかとすることを目的として、推定アミノ酸代謝酵素の酵素学的機能解析により、D-アミノ酸代謝に関連する酵素を同定する。昨年度は、異なる3つの活性を有する、多機能型酵素アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ及び新規のD-アミノ酸アミノトランスフェラーゼを同定した。本年度は、O-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼと2種類の推定アミノ酸アミノトランスフェラーゼの機能解析を行なった。 O-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼは、L-メチオニン生合成経路においてO-アセチルホモセリンと硫化水素からホモシステインと酢酸を合成する反応を触媒する酵素である。T. maritima由来の本酵素は2種類のアミノ酸に対して、微弱なラセマーゼ活性を有することが明らかとなった。また、本酵素はL-システインに対してリアーゼ活性を示した。さらに、アミノ基ドナーとアクセプターの組み合わせによっては、アミノトランスフェラーゼ活性を示すことが明らかとなった。以上より、T. maritimaのO-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼは、アミノ酸ラセマーゼ活性、L-システインリアーゼ活性、アミノ酸アミノトランスフェラーゼ活性を有する、多機能型アミノ酸代謝酵素であることを明らかにした。 また、2種類の推定アミノ酸アミノトランスフェラーゼについては、アミノトランスフェラーゼ活性について、アミノ基ドナーおよびアミノ基アクセプターの特異性の解析、pH依存性、温度依存性の解析を行なった。現在、各酵素のラセマーゼ活性について検証を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に引き続き、3種類のアミノ酸代謝酵素の酵素学的機能解析を行なった。昨年度と合わせると、5種類のアミノ酸代謝酵素を同定してきた。特に、本年度はO-アセチルホモセリンスルフヒドラーゼがD-アミノ酸代謝活性を有する多機能型酵素であることを明らかにした。これに加えて、2種類の推定アミノ酸アミノトランスフェラーゼの機能解析も進めている。さらに、その他数種類の推定アミノ酸代謝酵素についても、組み換え体酵素を得ることに成功している。従って、本年度の進捗は計画通りであり、本研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、来年度は今年度において組み換え体を取得した酵素の機能解析を継続して行う。各酵素が有するアミノ酸代謝活性を詳細に酵素学的に解析する。この解析を通じて、Thermotoga maritimaにおけるD-アミノ酸代謝酵素を網羅的に同定する。 また、Alaラセマーゼを欠損させた高度好熱菌 Thermus thermophilus を作製し、この欠損株にT. maritimaの該当遺伝子を導入することで、同定したT. maritima由来のアミノ酸代謝酵素がD-Ala合成に寄与するかどうかを検証する。
|