2022 Fiscal Year Research-status Report
パラベンを輸送するペプチドABCトランスポーターホモログの構造と機能柔軟性の解析
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21K05351
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
矢嶋 俊介 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (90301548)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / 基質 |
Outline of Annual Research Achievements |
非天然化合物であるhydrazide化合物を唯一の炭素源として資化できるMicrobacterium hydrocarbonoxydansから、化合物を取り込むABCトランスポーターと分解酵素を同定している。 本来の天然基質の同定を目指している中で、今年度はその候補であるパラベンを対象に解析を行った。また、この資化を担うタンパク質群を制御するオペロンは、他の放線菌にもホモログが存在することから昨年度に引き続きPseudonocardia acaciae由来のamidaseを用い、ホモログとしての機能同定も兼ねて解析を行った。基質として、メチル、プロピル、ブチルの各パラベンを用いてkinetics parameterを求めたところ、合成基質の一つである4-hydroxybenzoic acid hydrazideよりも高い酵素活性を示した。また、特異性に関しては、3種のパラベン間でkcat/Km値に大きな差はないが、ブチルパラベンに対して一番高い活性を示した。通常パラベンは化粧品に含まれることから天然物という認識があまりないかもしれないが、天然からの単離報告もあることから、酵素そしてトランスポーターの天然基質としての可能性が高まった。それはまた、3種の基質の間で活性の差が見られたことから、基質の結合様式を解析するため、P. acaciae amidaseのX線結晶構造解析を試みた。昨年度からの改善を行うことで結晶を得ることに成功した。一方で現時点での分解能は3 Aと高くないことと、基質との複合体はまだ得られていないため、さらなる検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はamidaseについて至適条件探索に時間がかかったと報告したが、今年度は、目的酵素のkinetics解析を行い、パラベンが天然基質である可能性が高いことを示せたこと、結晶構造の取得に至ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
M. hydrocarbonoxydansおよびP. acaciae由来 のタンパク質を用い、amidaseにおいてパラベンとの複合体X線結晶構造取得や、トランスポーターの構造取得、さらなる基質探索などを進める。また、両細菌由来タンパク質で進捗が難しい場合、Streptomyces antibioticus由来のタンパク質を用いることも検討し、当初計画に従い研究を進めて行く。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に合わせ適正な予算の使用に努め、計画的に研究を進めたが、予定額に対して使用額に差が生じた。この金額は、次年度に用いることでより研究の推進を図る。
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Research Products
(1 results)