2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploration and biochemical characterization of novel regulatory mechanisms of bacterial glutamate dehydrogenases
Project/Area Number |
21K05358
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 武郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50447364)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | グルタミン酸脱水素酵素 / 活性調節機構 / 環境応答 / 炭素・窒素代謝調節 / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、高度好熱菌Thermus thermophilus由来のグルタミン酸脱水素酵素GDHについてはGdhA/GdB/APRTh複合体のクライオ電顕解析を行い、3.6Å分解能のデータを得た。データ解析の結果、GdhA(またはGdhB)とAPRThの間の相互作用部位の構造が以前のデータと比べクリアとなり、該当するアミノ酸残基を置換させて改変体を作製し、相互作用部位の確認を進めた。 分裂酵母Schizosaccharomyces pombe由来のGDHは2種類存在する。そのうち一つのSpGDH1は細胞質に存在するNADPH依存型のGDHである。SpGDH1の補酵素結合部位のアミノ酸残基がリン酸化されることが示唆されており、補酵素特異性の制御機構が存在することが予想された。リン酸化模倣変異を導入した置換体を作製し、活性を測定したところ、補酵素特異性がNADHにシフトしていることがわかった。また、SpGDH1の結晶構造を決定し、野生型酵素の補酵素認識機構が明らかになった。 他方のSpGDH2はサブユニットのサイズが約115kDaと大きいタイプのGDHである。コアGDHドメインの他にN末端、C末端側に機能未知ドメインを有していることなどから、複雑な調節機構が存在することが予想されるが現状でその手掛かりは少ない。今年度SpGDH2については大腸菌を用いて組換えタンパク質を調製し、活性測定を行った。その結果、NAD+依存酵素であることが確認された。また、純度の高いサンプルを調製し、クライオ電顕解析を行い、比較的高分解能のデータを得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、高度好熱菌Thermus thermophilus由来のグルタミン酸脱水素酵素GDH (TtGDH)の活性調節に関する構造基盤を明らかにすることと、 分裂酵母Schizosaccharomyces pombeが持つ2種類のGDH (SpGDH1, SpGDH2)に関して、新奇な活性調節機構を解明し、その詳細な分子基盤を解明することを目的としている。 TtGDHについては そのうち一つのSpGDH1は細胞質に存在するNADPH依存型のGDHである。SpGDH1の補酵素結合部位のアミノ酸残基がリン酸化されることが示唆されており、補酵素特異性の制御機構が存在することが予想された。リン酸化模倣変異を導入した置換体を作製し、活性を測定したところ、補酵素特異性がNADHにシフトしていることがわかった。 また、SpGDH1の結晶構造を決定し、野生型酵素の補酵素認識機構が明らかになった。他方のSpGDH2については大腸菌を用いて組換えタンパク質を調製し、活性測定を行った。その結果、NAD+依存酵素であることが確認された。また、純度の高いサンプルを調製し、クライオ電顕解析を行い、比較的高分解能のデータを得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
TtGDHの活性調節機構に関しては、クライオ電顕解析により得られた構造データの精密化を完了させるとともにサブユニット間相互作用とAMPの結合・アロステリック活性化に直接的に関わるアミノ酸残基を特定するための変異体実験を進める。SpGDH1に関しては、補酵素特異性の変化が実際に酵母細胞内で起きているのか、代謝フラックスにおけるインパクトがあるのか、について分裂酵母細胞を使った実験を行い、解明していく。SpGDH2はクライオ電顕構造の精密化を完了させるとともに、分裂酵母細胞内における調節機構について分裂酵母細胞を使った実験によって明らかにしていく。
|
Research Products
(2 results)