2021 Fiscal Year Research-status Report
LysRタイプ転写調節因子による転写活性化初期機構の解明
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21K05361
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 直人 静岡大学, 農学部, 教授 (60354031)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | LysRタイプ転写調節因子 / 芳香族化合物 / 3-ヒドロキシ安息香酸 / Burkholderia / レポーター実験 / ゲルシフト実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
Burkholderia multivirans ATCC17616株は、多様な芳香族化合物の分解能をもつゲノム解明株である。本研究では、同株および類縁株の3-ヒドロキシ安息香酸(3-HB)分解遺伝子群等に着目して、そのLysRタイプ転写調節因子による発現調節機構の初期過程の解析を行う。同株の3-HB分解遺伝子群は、4つの遺伝子からなる約6.5kbのクラスターとして存在しており、この4遺伝子の上流にはLysRタイプ転写調節因子の遺伝子であるmhbRが逆向きに存在していた。 2021年度は、ATCC17616株のmhbRの機能を解析するために、レポーター実験とゲルシフト実験を行った。まず、mhbR遺伝子とその制御を受けると考えられた分解遺伝子群のプロモーター領域(gtdAプロモーター)をlacZレポータープラスミドに組込み、宿主細菌 Pseudomonas putida PRS4020株に形質転換してレポーター実験系を構築した。グルコースを基質とする培地に3-HBを添加して培養を行ったところ、グルコースのみの場合と比べて、 gtdAプロモーターの転写活性は約12倍に上昇した。また、この転写活性の上昇は、GAの添加によっても、弱いながらも観察された。一方、この活性上昇は、mhbR遺伝子が無い、 gtdAプロモーターだけのレポータープラスミドでは見られなかったことから、mhbR遺伝子の産物により転写活性化が行われることが示唆された 次いで、MhbRタンパク質を大腸菌で発現する系を構築して部分精製し、ゲルシフト実験を行った。その結果、MhbRタンパク質がgtdAプロモーターDNAに特異的に結合することが判明した。以上の結果から、MhbRタンパク質が gtdAプロモーターを特異的に認識して、3-HBの存在下で、転写活性化を行うと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レポーター実験、ゲルシフト実験等の実験は順調に行えており、とくに問題はない。今後、より詳細な解析を行うためには、MhbR(ATCC17616)の発現量が少なめであることから、コドン最適化により、発現量を増やすことを検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
MhbR(ATCC17616)の芳香族化合物認識能に関与するアミノ酸について、候補となるアミノ酸を置換して、その機能を、レポーター実験等により解析する。また、MhbR(ATCC17616)の大腸菌発現系での発現量を増やすことを目的に、コドンを最適化した人工遺伝子によって、MhbRタンパク質を発現することを検討する。一方、MhbR(ATCC17616)がgtdAプロモーター領域で認識する塩基配列を調べるために、gtdAプロモーター領域に塩基配列を置換してゲルシフト解析を行う。MhbR(ATCC17616)と類縁のLysRタイプ転写調節因子である、Cupriavidus necator NH9株のLysRタイプ転写調節因子MHbR(NH9)は、MhbR(ATCC17616)とは芳香族化合物の認識スペクトルが異なる可能性が示唆されており、この因子の芳香族化合物認識能を調べて、比較解析の検討を行う。
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Research Products
(2 results)