2023 Fiscal Year Annual Research Report
LysRタイプ転写調節因子による転写活性化初期機構の解明
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21K05361
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 直人 静岡大学, 農学部, 教授 (60354031)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 転写調節 / 細菌 / LysRタイプ転写調節因子 / 芳香族化合物分解 / Burkholderia / Curpriavidus |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の進行過程で、Cupriavidus necator NH9株の3-ヒドロキシ安息香酸(3-HB)分解遺伝子群の発現が,これまで研究を進めてきたBurkholderia multivorans ATCC17616株の3-HB分解遺伝子群と同様に、LysRタイプ転写調節因子であるMhbR(以下、MhbR(NH9))によって制御されることが示唆された(MhbR(B multivorans, 以下Bm)とMhbR(NH9)はアミノ酸レベルで65%の同一性)。一方、この2つの細菌の3-HB分解遺伝子群のプロモーター領域においては、通常LTTRが最初に認識するとされる、T-N11-AやG-N11-Aといった塩基配列のモチーフ (Nは任意の塩基) を含む逆向き繰り返し配列が存在しないことが明らかとなった。このことは、1つの細菌が100種類前後以上のLTTRを持っており、それぞれの被制御プロモーターを特異的に認識することを考えると、その仕組みを探るうえでたいへん興味深い。さらに、MhbR(Bm)は、本来自身が制御するgtdAプロモーター以外に、NH9株のmhbDプロモーターも、3-HBを誘導物質として制御することが明らかとなった。そのため、この両細菌の3-HB分解遺伝子群のプロモーター領域DNAとMhbR(Bm)タンパク質を用いて、結合の解析を行った。その結果、両プロモーター領域において、MhbR(Bm)が最初に認識する配列をほぼ特定することができ、LTTRには典型的な結合モチーフ以外の結合配列が存在することが明らかとなった。この結果は、 LTTRが認識する塩基配列に、従来考えられていたよりも多様性があることを示すものであり、被制御遺伝子プロモーターを特異的に認識する機構の解明に大きく貢献するものである。
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