2021 Fiscal Year Research-status Report
High-density cultivation method that does not allow lactic acid bacteria to produce lactic acid
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21K05372
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
片倉 啓雄 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50263207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 思乃 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (50602182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / 流加培養 / 好気呼吸 / 酸素比消費速度 / 高密度培養 / ヘム |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌の好気的流加培養において、解糖系でのNAD+消費、乳酸生産によるNAD+再生、酸素を電子受容体としたNAD+再生のバランスが、比増殖速度μによってどのように変化するのかを調べた。Lactococcus lactisでは、μ=0.05 /hの時は1.6 mmol-O2/(g-cell・h)であった酸素比消費速度がμ=0.31 /hの時は2.8 mmol-O2/(g-cell・h)にまで上昇した。また、μが0.05 /hの時、乳酸の比生産速度を0.1 g/(g-cell・h)に抑えることができたが、0.2 /hを超えると急激に上昇し、0.37 /hでは1.5 g/(g-cell・h)に達した。高いμでは解糖系でのNAD+消費が大きく、酸素を利用したNAD+再生では賄い切れず、LDHによるNAD+再生が起きると考えられる。また、μが0.2 /hを超えるとアセトインが生産され、ジアセチルレダクターゼによるNAD+再生も起こると考えられた。 栄養バランスを改良したMRS培地を使い、乳酸が生産されにくいμ=0.14 /hで22時間培養することで、菌体濃度は通常のMRS培地を用いた静置回分培養の10倍に達した。また、プロトン濃度勾配によるATP生産を促すと考えられるヘムを添加したところ、NAD+の再生能力も増強され、μ=0.25 /hで培養しても乳酸生産を抑制することができた。さらに、通常のMRS培地を用いた静置回分培養に比べて、菌体収率は5倍の0.29 g-cell/g-glucoseに達し、到達菌体濃度も培養時間を15時間にまで短縮した上で約15倍に達した。 Leuconostoc messenteroidesとLactiplantibacillus plantarumでは好気的流加培養で酸素障害による比増殖速度の低下がみられたが、市販カタラーゼの添加で解決できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年秋まで、新型コロナウイルス対策のため、大学の方針で研究室の利用人数を通常の半分程度に制限した。このため、培養関係の計画は、種々の乳酸菌における酸素障害の有無の確認を含め予定通り進められたが、酸素障害に関連する遺伝子の発現解析は、対象遺伝子の選定は在宅で行えたものの、実際の実験開始は遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
酸素障害に関連する遺伝子の発現解析の遅れを取り返すとともに、カタラーゼやマンガンを添加することにより、酸素障害を受けやすい乳酸菌に対しても好気的流加培養を適用できるかどうかを検討する。また、それぞれの培養において、代謝フラックスとNADの酸化還元バランスを解析することによって、アセトインや酢酸を副生する理由を探り、副生を抑制する方法を論理的に立案し、実験で検証する。
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Causes of Carryover |
コロナ対策のため、研究室の利用が制限されたため、酸素障害に関連する遺伝子の発現解析が遅れ、これに必要な消耗品の執行が遅れたため次年度使用が生じた。2022年度に予定通り使用する。
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Research Products
(3 results)