2022 Fiscal Year Research-status Report
抗真菌薬の標的となるα-マンノシド β-ガラクトフラノース転移酵素の機能解明
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21K05373
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡 拓二 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (50510690)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガラクトマンナン / ガラクトフラノース / 糖鎖 / 糖転移酵素 / 糸状菌 / 細胞壁 / 抗真菌薬 / Aspergillus fumigatus |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性糸状菌Aspergillus fumigatusの細胞壁構成多糖の1つである真菌型ガラクトマンナンの生合成酵素のうち、マンナン主鎖にガラクトフラノース残基を転移する酵素は不明であった。申請者は、この未知酵素が「ゴルジ体に局在する機能未知II型膜タンパク質の中にある」という仮説を立て、生物情報学、逆遺伝学および生化学を駆使したアプローチにより、α-マンノース残基にUDPガラクトフラノースを糖供与体として β-ガラクトフラノース残基を転移する酵素(MgfA)を見出した。昨年までの研究により、MgfAはα-マンノシド β-1,6-ガラクトフラノース転移酵素であることを明らかにした。また、MgfAを大量に精製し、結晶化を試み、良質な結晶を得ることが出来ていた。そこで、今年度は得られたMgfAの結晶を用いてX線結晶構造解析によるタンパク質立体構造の解明を試みた。その結果、0.8Åの解像度でタンパク質立体構造を明らかにすることができた。MgfAはマンガンイオン結合タンパク質であった。MgfAは、これまで多くの糖転移酵素において報告されているDXDモチーフとは異なる新規な金属結合モチーフによってマンガンイオンと結合していることが明らかになった。次に、Cre-loxP を利用した高効率マーカーリサイクリング法を用いることによりmgfAからmgfFまでの6重遺伝子破壊株(mgf6株)を構築した。さらに、β-ガラクトフラノシド β-1,5-ガラクトフラノース転移酵素であるgfsA、gfsBおよびgfsC遺伝子を破壊することでガラクトフラノース糖鎖の伸長を完全に抑制した株(mgf6gfs3株)を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題における大きな目標の1つであったMgfAのタンパク質立体構造を明らかにすることができた。また、2年目までに達成する予定としていたmgfAからmgfFの6重破壊株(mgf6株)を取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した各単独遺伝子破壊株および6重遺伝子破壊株(mgf6株)およびガラクトフラノース糖鎖の伸長を抑制した(mgf6gfs3株)より真菌型ガラクトマンナンを精製し、ゲルろ過カラム,1H-NMR解析,13C-NMR解析およびメチル化分析に供することでMgfファミリータンパク質が真菌型ガラクトマンナンのガラクトフラノース糖鎖生合成における初発酵素であることを明らかにする。また、Mgfファミリータンパク質のO-マンノース型ガラクトマンナンの生合成への関与の有無も明らかにする。
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Research Products
(11 results)