2023 Fiscal Year Research-status Report
ふぞろいな翻訳系:哺乳類リボソーム不均一性因子による新規翻訳制御機構の統括的理解
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21K05379
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
灘野 大太 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00228074)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、これまでのデータからリボソームが積極的に不均一になることでリボソーム自身での適切な新生タンパク質合成に加えて、このタンパク質合成をバランスよく支えるためにmRNAの転写後輸送やリボソーム自身の生合成までも管理・制御していること推定し、哺乳類リボソームの不均一性因子による包括的な転写後タンパク質合成制御という観点から分析を進めてきた。たとえばマウスリボソームのプロテオミクス解析などから得られたmRNAの核外輸送とその後のリボソームでの翻訳をつなぐことでふぞろいな翻訳系を支える有力な候補の解析を継続した。これに加えてふぞろいな翻訳系を支えるもう一つの柱、つまり細胞質のリボソームに結合しつつ、その生合成の場である核小体においてこの生合成に関わるタンパク質の解析も進めた。細胞内のリボソーム生合成には200種以上とも言われる様々なタンパク質が関わり、かつ大量のエネルギーを消費する過程であり、その生合成量およびこれに関わるタンパク質の細胞内動態は精緻に制御されているはずであるが、リボソームそのものの構造上の複雑さに加え、上記のような多種類の因子が関わることで未だ不明な点が多い。このような因子として、我々が必須であることを示したタンパク質の細胞内での量的制御に着目した。このタンパク質にその細胞内安定性を決定づける領域があること、そしてその分解がプロテアソーム依存的であることが我々の研究から明らかになった。そしてこのタンパク質の立体構造のAIによる予測等を取り入れながらこの領域の構造ならびに機能について、特に後者については複数の可能性から検討を進め、構造上のこの領域の特徴等が明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載したとおり3年目も本研究計画の重要な解析対象であるリボソームの構造不均一性因子およびその関連について分析を進められたことからおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目もおおむね順調に推移したことから、特に計画の大きな変更は行わず今後とも申請研究内容にある目標をめざして進める。
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Causes of Carryover |
(理由)3年目の研究計画も上に記載したとおりおおむね順調に進んだことから、当初可能性として想定された困難が生じた場合への対応を含めた当初の使用計画に比して使用額の変動が結果として生じた。またこれまでと同様に経費削減に努めた。加えて前年度までの繰り越し分が含まれていたことも少なからず影響した。 (使用計画)生じた助成金分を含めて研究計画に従って4年目の研究を推進する。
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