2021 Fiscal Year Research-status Report
人工結合タンパク質を基盤とする新しいタンパク質構造安定化戦略の創成
Project/Area Number |
21K05386
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 俊一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70591387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 浩由 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30324809)
高野 和文 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40346185)
吉澤 拓也 立命館大学, 生命科学部, 講師 (50779056)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | タンパク質工学 / 酵素 / 人工結合タンパク質 / 安定性 / 熱力学解析 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
酵素の安定性の改変は、その産業利用において重要な課題である。代表者は最近、人工結合タンパク質の酵素構造表面への結合が、酵素の熱安定性を高く向上させることを発見した。本研究では、①この安定化効果がどれだけの広い酵素で得られるのかという汎用面、そして、②酵素構造表面のどのような部位へ、どのような相互作用様式で結合することが高い安定化に結びつくのかという機序面を明らかにすることを目的に、複数の酵素に対して様々な部位に結合する人工結合タンパク質を創出し、熱力学的・構造学的手法を用いた網羅的かつ体系的な解析を行う。得られる成果を基に、従来の変異導入法とは異なる新たなタンパク質安定化戦略の創成を目指す。
本年度はまず、複数のターゲット酵素を用意し、それぞれに対して結合する人工結合タンパク質の取得と、得られた人工結合タンパク質の平衡解離定数(Kd値)の測定に注力した。構造の大きさ(分子量)や安定性、触媒機能が様々に異なる7種類の酵素に対して、ファージディスプレイ法や酵母表層ディスプレイ法を用いたスクリーニングを行い、それぞれ結合エピトープの異なる複数の人工結合タンパク質を取得できた。得られた人工結合タンパク質の精製サンプルを調製し、それらの平衡解離定数(Kd値)を測定した結果、シングルnMオーダーから100nM程度のKd値を示すものも多く確認できた。これら結合能に優れた人工結合タンパク質を用いれば、次年度以降に予定していた熱力学的・結晶構造学的解析は十分に進めることができると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、既に複数のターゲット酵素に対して、結合能に優れた人工結合タンパク質の創出が完了している。次年度以降に予定していた熱力学的・結晶構造学的解析の準備は整っており、したがって、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずは優れた結合能を有する人工結合タンパク質を優先して、酵素の熱安定性向上への効果や、X線結晶構造解析による相互作用様式を調べていく予定である。
|