2022 Fiscal Year Research-status Report
フラビンタンパク質機能から紐解くAshbya gossypiiリボフラビン生産
Project/Area Number |
21K05390
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 竜也 静岡大学, 農学部, 教授 (00397366)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Ashbya gossypii / リボフラビン / フラビンタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度に見出したリボフラビン過剰生産変異株で比活性上昇が認められたフラビンタンパク質、グルタチオン還元酵素とアセト乳酸合成酵素に焦点を当てた。 まず始めに、グルタチオン還元酵素の阻害剤である2-アセチルアミノ-3-[4-(2-アセチルアミノ-2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニルアミノ)フェニルチオカルバモイルスルファニル]プロピオン酸をYD培地(1%グルコース、1%酵母エキス、pH6.8)に添加したところ、野生株において増殖、菌糸の色に変化がなかった。次にアセト乳酸合成酵素のフィードバック阻害剤であるバリン1 mMを最少培地に添加したところ、変異株の増殖が阻害され、液体培地での菌体当たりのリボフラビン生産量が、約50%減少した。このことからアセト乳酸合成酵素活性が、リボフラビン過剰生産株において生育とリボフラビン生産に関係していることが示唆された。 次に分岐鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンすべてを1 mMずつ最少培地に添加したところ、菌糸の増殖が促進され、液体培地での菌体当たりのリボフラビン量が約2.4倍上昇した。この結果から分岐鎖アミノ酸がリボフラビン過剰生産変異株の増殖とリボフラビン生産に関係していることが示唆された。しかし、栄養培地(YD培地)に10 mMの3種類の分岐鎖アミノ酸をすべて添加した場合は、菌体当たりのリボフラビン生産量が上昇しなかった。 以上の結果から、リボフラビン過剰生産株ではアセト乳酸合成酵素活性が上昇するに伴い分岐鎖アミノ酸生合成量が増加して、リボフラビン生産量が増加していると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リボフラビン過剰生産変異株のアセト乳酸合成酵素の比活性上昇について、変異に起因するのか、それとも細胞内の代謝変化など他の要因に起因するものなのか、現時点では確認できていない。変異アセト乳酸合成酵素の組換え体の調製が達成できておらず、研究はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
リボフラビン過剰生産変異株のアセト乳酸合成酵素の比活性上昇が分岐鎖アミノ酸生合成量の増加につながっていることを証明する。さらに分岐鎖アミノ酸生合成とリボフラビン生産との関係について、分岐鎖アミノ酸分解に焦点を当てて、研究を行う。 また、他のフラビンタンパク質とリボフラビン生産との関係について、フラビンタンパク質の普遍的な阻害剤であるジフェニレンヨードニウムを用いて、リボフラビン生産に関連するフラビンタンパク質を同定して解析する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究の進み方が計画よりも遅いため、使用額に差が生じている。次年度に今年度できなかった研究を行う。
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