2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of D amino acid derivative synthetic method by ancestral L-amino acid oxidases
Project/Area Number |
21K05395
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中野 祥吾 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (80748541)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 祖先型再構成法 / L-アミノ酸酸化酵素 / 物質生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に取得したHTAncLAAO2について、分子置換法による位相決定と構造精密化を実施し、その構造を2.2Å分解能にて決定した。得られた構造は手裏剣状の8量体構造を形成しており、これはクライオ電子顕微鏡 (ネガティブ染色法) およびゲル濾過クロマトグラフィー法による分子量測定の結果と一致していた。このような特徴的な多量体構造が形成されることで、HTAncLAAO2の極めて高い耐熱性・安定性が獲得されたと考えられる。続いて酵素学的諸性質を検討した結果、本酵素は4種類の疎水性L-アミノ酸 (L-Phe, L-Leu, L-IleおよびL-Met) に高い活性を示すことが判明した。一方でL-Trpといった嵩高いL-アミノ酸に対して活性は低かった。そこで基質認識に関わるアミノ酸残基 (W220, L320, およびY383) を特定し、この部位をAlaに置換することで、L-Trpに高い活性を示す変異体の作成を行った。結果W220A変異体について、変異導入前に比べてkcat/Kmの値が一桁ほど改善することを明らかにした。続いて取得したHTAncLAAO2(W220A)変異体を用いた、化学-酵素法によるD-Trp誘導体の合成系構築を目指した研究を実施した。アンモニア-ボラン錯塩を還元剤として用いた反応条件下で、3種類のD,L-Trp誘導体 (5-フルオロ, 5-メトキシ, 7-フルオロTrp) について、高い光学純度 (>99% ee) かつ単離収率 (>53%) でD体を合成することに成功した。本成果は論文として既に報告している (Communications Chemistry, 2023, 6, 200)。
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