2021 Fiscal Year Research-status Report
機械学習と遺伝子操作の融合による酸化ストレス防御機構の創出と食品科学への応用
Project/Area Number |
21K05424
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
永濱 清子 宮崎大学, 農学部, 特任助教 (10510456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山森 一人 宮崎大学, 工学部, 教授 (50293395)
服部 秀美 宮崎大学, 農学部, 教授 (80508549)
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 機械学習 / 遺伝子発現制御 / プロテオーム解析 / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスは、生活習慣病などの様々な疾患への関与が指摘されている。生体内には酸化ストレスに対する防御機構が備わっているが、未発見なものも多く、その解明には既存の手法だけではなく、新しい視点からのアプローチが必要である。本研究では、独自の機械学習モデルの活用と遺伝子発現制御で培養細胞に新規機能性を人工的に付与する生化学実験を融合させた手法で、これまで発見されてこなかった新規酸化ストレス防御機構の探索・解明を目指すものである。 酸化ストレス防御能に関与する新規酸化ストレス防御機構を探索するため、ホワイトノイズ法を用いて、仮想タンパク質発現パターン4,000データを作成した。これらのデータを構築済みの抗酸化ストレス活性モデル(人工ニューラルネットワーク)に入力し活性を推定したところ、高活性を示したタンパク質発現パターン1,200データを得た。その中から候補となる複数のタンパク質発現パターンを見出した。解析対象となるマーカータンパク質数を増やすため、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)とMRM(Multiple Reaction Monitoring)法を用いた定量法を用いて収集したペプチドデータを基に新たな抗酸化ストレス活性モデルを構築した。抗酸化能を評価する新たな食品成分を探索するため、HepG2/ARE細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイにより評価した。その結果、魚類由来の未利用資源粉末に高い抗酸化ストレス活性を有することを見出した。さらに、HepG2細胞に過酸化水素を作用させたときに生じる細胞内活性酸素種(ROS)を抑制できるかどうか酸化ストレス検出試薬(CM-H2DCFDA)を用いて評価した。その結果、1%粉末では細胞内ROSレベルを有意に抑制した。2%粉末では抑制傾向を示したが、有意な抑制ではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化ストレス防御能に関与する新規酸化ストレス防御機構を探索するため、ホワイトノイズ法を用いて、仮想タンパク質発現パターン4,000データを作成した。これらのデータを構築済みの抗酸化ストレス活性モデル(人工ニューラルネットワーク)に入力し活性を推定したところ、高活性を示したタンパク質発現パターン1,200データを得た。その中から候補となる複数のタンパク質発現パターンを見出した。 解析対象となるマーカータンパク質数を増やすため、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)とMRM(Multiple Reaction Monitoring)法を用いた定量法にて収集したペプチドデータを基に新たな抗酸化ストレス活性モデルを構築した。今後は作成したモデルも用いて、酸化ストレス防御機構に関与するタンパク質発現変動パターンの予測も進めていく予定にしている。 抗酸化ストレス活性を有する食品成分は、植物由来の2次代謝物が良く知られているが、動物由来のものは少ない。そこで、抗酸化能を評価する新たな食品成分を探索するため、、HepG2/ARE細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイにより評価した。その結果、魚類由来の未利用資源粉末に高い抗酸化ストレス活性を有することを見出した。さらに、HepG2細胞に過酸化水素を作用させたときに生じる細胞内活性酸素種(ROS)を抑制できるかどうか酸化ストレス検出試薬(CM-H2DCFDA)を用いて評価した。その結果、1%粉末では細胞内ROSレベルを有意に抑制した。2%粉末では抑制傾向を示したが、有意な抑制ではなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化ストレス防御機構に関与するタンパク質発現変動パターンの予測は、MRM法を用いた定量法にて収集したペプチドデータを基に新たに構築した抗酸化ストレス活性モデルも活用し次の候補となるタンパク質発現パターンの探索も行う。また、これまでの手法に加えて、クラスタリングなどの解析手法も取り入れ、抗酸化ストレス活性モデルの構築に使用した学習データとクラスターの異なる仮想タンパク質発現パターンを見出し、未知の酸化ストレス防御機構である可能性が想定される発現パターンを探索する。 令和3年度に見出したタンパク質発現パターンからHsp90などの複数のターゲットとなる遺伝子をトランスフェクションにより遺伝子導入させ、酸化ストレス防御能獲得細胞を作製する。得られた細胞の酸化ストレスに対する防御能は細胞内ROS抑制レベルなどを指標として評価する。作製した細胞の酸化ストレス防御能に変化がみられた際には、プロテオーム解析などを行う。
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Research Products
(5 results)