2021 Fiscal Year Research-status Report
エクスポソーム暴露による酸化ストレスを指標とした生体への影響と予防法の確立
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21K05426
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
南山 幸子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00362989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 茂一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00322363)
市川 寛 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60336732)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 食品添加物 / 抗酸化物質 / 精子機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペットボトル材料のビスフェノールA(BPA)の食品への溶出や加工食品普及に伴う添加物の摂取が健康を脅かすことが懸念されている。近年、人工甘味料入り飲料の習慣的摂取により、虚血性脳疾患や認知症のリスクが約3倍であることなど、食品添加物をはじめとするいわゆるエクスポソーム(ヒトが暴露される化学物質)が生体に影響をおよぼす事実が明らかになりつつある。申請者らは、溶出限界以下のBPAをラットに投与し、1週間という早期に精子ミトコンドリア機能不全による酸化ストレスが惹起されること、脳でも2週間で酸化ストレス応答が起こることを見出した。これより、本申請はエクスポソームの内分泌系(精子)および脳神経系への関連動態と機序を明らかにし、それを予防することを目的としている。ラットに種々の食品添加物を最大無毒性量の1/10000で8週間投与した。解剖は2週間、8週間目で行った。用いた食品添加物は人工甘味料のアセスルファムカリウム(AK),アスパルテーム(AP)、防カビ剤のオルトフェニルフェノール(OPP)、ビフェニル(BP)、プラスチック材料のビスフェノールA(BPA)を使用した。AK群および全てを混合したミックス群(MX)については、α-トコフェロール群(Toc)0.15%(100 mg/kg BW/day)の混餌飼料を投与し、酸化ストレスの関与とその予防効果を検討した。8週間後の精子運動能のうち、受精に重要な曲線速度などの機能がAKおよびMIX群で低下した。また、精巣を解析したところ、食品添加物により酸化ストレスが亢進し、それをTocは改善することが判明した。さらに、この精巣および精巣上体尾部の解析を進めるとともに、2週目のサンプル、海馬、腸内フローラの解析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物モデルの作製は順調に実施できた。内分泌系解析として精巣、精巣上体尾部、精子機能などがあり1年目にこれらの解析を終了し、2年目は海馬の解析をする予定であった。しかしながら、コロナで研究室に来れない時期等もあったため、解析に若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の結果から、概ね仮説どおりの結果となっているため、予定通り内分泌系の解析、腸内フローラ、脳について精力的に解析をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
発注した抗体の一部を輸入する必要があったが、コロナ禍の影響で当該年度に購入できなかったため。輸入抗体が届き次第、遅れていた解析を進める予定である。
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