2021 Fiscal Year Research-status Report
健康食品に添加された新規医薬品類似体の標準品を使用しない確認・定量システムの構築
Project/Area Number |
21K05434
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
田上 貴臣 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 課長 (00321943)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 健康食品 / 定量NMR / 医薬品成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来から違法に配合された医薬品が健康食品から検出されている。医薬品が違法に配合された健康食品の流通を阻止する上で最も大きな問題は、「摘発を逃れるために医薬品の構造の一部を変えた類似体」が毎年のように発見・報告されているが、機器分析において比較するための標準品が販売されておらず、従来より使用されている液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーといった一般的な分析機器では医薬品が配合されていることを確認したり、配合された医薬品の量を測定することができないことである。 本研究では、初めに健康食品に配合された医薬品をNMRにより確認するための精製法について検討した。モデル化合物としてクエン酸シルデナフィル及びクロロプレタダラフィルを用いた。フラッシュクロマトグラフィーによる精製法を確立するために、クエン酸シルデナフィル及びクロロプレタダラフィルを用いてシリカゲルクロマトグラフィーによる予備検討を実施した。その結果、クエン酸シルデナフィルについては、0.28%アンモニア水と酢酸エチルを用いて溶解し、10gのシリカゲルカラムに負荷した後、アセトン/イソプロパノール混液で溶出する方法を設定した。また、クロロプレタダラフィルについては酢酸エチルで溶解し、等量のヘキサンを加え、10gのシリカゲルカラムに負荷した後、酢酸エチル/ヘキサン混液で溶出する方法を設定した。設定した方法を用いて健康食品に添加したクロロプレタダラフィルの精製を行い、1H-NMR測定を行ったところ、クロロプレタダラフィルに由来するピークを確認することができた。一方で、クロロプレタダラフィルの妨害とはならない位置に健康食品に由来するピークを認めた。 これまでに得た結果を基に精製条件の最適化を行い、複数の健康食品を用いて精製効果を確認することにより健康食品に添加された強壮効果を有する医薬品成分の精製法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健康食品に配合された医薬品をNMRにより確認するための精製法について検討し、精製法を設定することができたが、複数の健康食品を対象とした妥当性の確認に至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の健康食品を対象として精製法の妥当性評価を行う。健康食品に由来する妨害を受けた場合は、液-液分配などの精製法を組み合わせることにより、妨害となる成分を除き、NMRによる同定・定量を可能とすることを目指す。
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Causes of Carryover |
複数の健康食品や化合物を対象とした精製法の妥当性確認に至らなかった。そのため、化合物や精製用試薬、精製用カラム、NMR関連試薬等で購入しなかったものがあることから、次年度使用額が生じた。次年度早々に試薬などを購入して研究を遂行する。
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