2023 Fiscal Year Research-status Report
麹触媒による蒟蒻芋多糖類の完全加水分解物の多様な用途開発と食料自給率向上への寄与
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21K05438
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
足立 収生 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (20027189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤壁 善彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20274186)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | D-マンノース異性化酵素 / D-フルクトースの製造 / 蒟蒻芋麹 / 細胞膜結合型糖質異性化酵素 / 蒟蒻芋の高度食料化 / PCT出願完了 / 酢酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果をまとめて公表する方法として、「D-マンノース異性化酵素及びD-フルクトースの製造方法」の表題で特許申請した。JSTへ外国特許出願への経費支援を希望していたところ、R5年3月14日にJSTによる外国特許出願(PCT)審査を経てPCT出願許可を受けることができた。これに伴って、R5年度は米国、中国、フランス(仏)およびドイツ(独)へPCT出願することになった。米国と欧州(仏と独)への出願書類の骨格は研究代表者が作成することから始めた。中国への中国語による出願書類の作成は、本学知財センターから外部委託された。いずれの出願もR5年7月に出願完了の通知を受けた。今後のPCTの補正事項として、産業廃棄物として捨てられてきた蒟蒻芋マンナンを多量に含む外皮部分を蒟蒻芋麹に使用することで、加水分解効率を向上させるとともに産業廃棄物の有効利用に繋がることを実証する。 さらに本研究を加速するために、D-マンノース異性化酵素を生成する酢酸菌の増殖を促進する因子を種々な天然物の中に見出した。これを単離・精製して酢酸菌の培養に供することは、着色しない培養物を得ることができ、着色物質を除去する経費削減にも繋がって、製造価格の低廉化となって産業化上の大きな利点となる。そのために当該物質の単離・精製を行い、精製物の化学構造決定を学外の専門機関へR5年10月に委託した。分析結果の解析は研究分担者の専門領域であり、試験した精製試料に不純物の混在の指摘を受けた。そのために引き続き不純物の除去を鋭意遂行中である。R6年6月頃に再度化学構造決定の外部委託を目指している。 別途出願中であった2件の特許が、R5年に特許庁から特許として登録した旨を示す特許証書を受け取ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と研究分担者との相補的な研究推進の成果と言える。javascript:onTransientSave();
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Strategy for Future Research Activity |
PCT出願内容へのクレームを排除するために、蒟蒻芋麹の作成にあたり、蒟蒻マンナンを大量に含んだまま廃棄されている蒟蒻芋の外皮部分を使った蒟蒻芋麹を製造すること。この補正によって蒟蒻マンナンの加水分解力を向上させた麹触媒が実現できる。 酢酸菌の生育促進物質を単離・精製してその化学構造を明らかにするとともに、著しく着色する天然物を排除した酢酸菌の合成培地を実現する。D-マンノースの製造価格を低廉化するために重要であり、本技術の酷愛競争力を増強することに繋がる重要性を有している。
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Causes of Carryover |
上記(8)に述べる通り、今後の取り組みの重点課題のひとつは、酢酸菌の生育促進物質の単離・精製後に予定している生成物質の化学構造決定である。精密質量分析、化学構造解析、及び元素分析を予定している。これに利用できる当該装置・設備や分析専任者は本学にはなく、分析業務を専門としている学外業者へ依頼分析を行うことになる。それには高額な経費を伴うことが予想される。有機化学の機器分析学に造詣ある研究分担者とも相談した結果、当該目的のために次年度への繰越額として経費を保留することとなった。
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