2022 Fiscal Year Research-status Report
ウメのアレルギー疾患および性差に対する影響を明らかにする
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21K05441
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Research Institution | Osaka Kawasaki Rehabilitation University |
Principal Investigator |
河野 良平 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 講師 (70569110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 祥治 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (60458073)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アレルギー / ウメ / マウス / 脱顆粒 / 花粉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー疾患の患者数は増加の一途を辿り、世界的な問題となっている。過去の簡易アレルギーモデル動物実験および培養細胞実験により、日本の伝統食品であるウメからアレルギー反応に関与するマスト細胞の脱顆粒反応を抑制する物質を複数特定し、それらの作用機序の一端を解明した。さらにヒトを対象とした疫学研究から、ウメの摂取習慣がある場合にアレルギー症状を有する割合が低く、特に女性において顕著であること、アレルギー症状を有する割合に性差があることが明らかとなっている。本研究では、花粉症モデルマウスに対するウメの花粉症予防効果と性差に対する影響を調査することを目的として、昨年度はBALB/c系統雄性マウスをスギ花粉抗原により2度の皮下免疫を実施し、その後の花粉溶液の点鼻感作により、ひっかき行動、くしゃみといった花粉症症状を呈する花粉症モデルマウスを作出し、花粉症症状が再現されることを確認した。本年度はウメの摂取が花粉症症状に何らかの影響を及ぼすかどうかを調査するために用いるウメ抽出物を調整した。ウメ抽出物は梅干をペースト状にし凍結乾燥により水分を除去した後、メタノールにより成分を抽出し、さらにロータリーエバポレーターによりメタノールを除去したて得た。このウメ抽出物を水に溶解して給水ボトルを使用した自由飲水によりマウスに摂取させた。マウスの一日当たりの飲水量から逆算して、ヒト60kg体重換算で1日1粒枌の梅干成分を摂取するようにウメ抽出物の濃度を調整した。マウスへのスギ花粉点鼻感作開始と同時に、ウメ抽出物の自由飲水を開始させた。最終日Day28まで継続し、行動観察後、採血および採材を実施したところ、ウメ摂取によるひっかき行動が少なくなる傾向が見られ、くしゃみの回数は有意に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト花粉症に似せたスギ花粉症マウスを雌雄両性で作出しウメを摂取することによる花粉症症状に対する効果を検討するために、本年度は、雄性マウスで花粉症モデルマウスを作出しウメ投与による花粉症症状、ひっかき行動、くしゃみへの影響を調査し、実際にウメ投与により花粉症症状が緩和されることが観察された。また、I型アレルギー反応の遅発相反応に相当する培養細胞反応系を新規に確立することを目指し、ヒト好酸球性白血病細胞株Eol-1の培養を開始し、様々な浸潤試験法を検討したが良好な結果は得られなかった。所属が変更になり本年度の研究開始が遅れたが、当初の計画通りにおおむね進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、雌性マウスを用いて花粉症マウスを作出しウメ投与による花粉症症状への影響を調査するとともに、雄性マウスとの比較を行う。また、病理組織学的観察や生化学検査、RNA解析等を行う。特に性ホルモンや炎症との関連を解析し、ウメ成分による性差への影響とメカニズムの解明を目指す。また、ヒト好酸球性白血病細胞株Eol-1を用いた試験系を再度調整し、I型アレルギー反応の遅発相反応に相当する反応を再現し、ウメ由来成分の有効性検討を目指す。
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Causes of Carryover |
所属が変更となり、研究開始までの準備に時間を多く要したことと、生化学分析の委託先での分析が遅れたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)