2021 Fiscal Year Research-status Report
Production method of high GABA polished rice and slection of suitable rice varieties for it.
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21K05447
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
堀端 章 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (70258060)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | γ-アミノ酪酸 / 催芽処理 / 白米 / 突然変異 / トランスポゾン / デンプン / 糊化特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究室に保存されている品種、および、トランスポゾンmPingの転移によって生じた突然変異遺伝子を保有する系統について、浸水処理にともなうGABAの増加量を調査した。これまでGABAの定量にはGABAseを利用した酵素法を用いてきたが、2段階の酵素反応を利用しているため、特にGABA濃度が低い場合に著しく定量性が低下することが課題となっいた。このため、HPLC装置を用いた遊離アミノ酸定量法の適用も検討したが、当研究室が保有している装置では定量することができなかった。そこでさらに、Enzyme Sensor Co. Ltd.から発売されたGABAseとは異なる酵素を利用した酵素法を用いたGABA定量キットの適用を検討している。定量の精度について現在検証をすすめつつあるが、実験操作は極めて容易であり所要時間を大幅に短縮できるこメリットがある。定量性の検証が終われば、この方法に採用して研究を進める予定である。 これに並行して、供試する品種および突然変異系統について、十分な量の玄米サンプルを得るための種子増殖をはかった。紀の川市内の実験圃場に、100品種および1000突然変異系統を栽植し、それぞれから籾を収穫し乾燥させた。 また、水浸過程ではGABAの増加と同時に、胚から誘導されるアミラーゼによるデンプンの部分分解も始まる。このため催芽した玄米に由来する白米では、デンプンの物理特性が変化して食味が変化する可能性がある。そこで、デンプンの物理特性を評価するための装置を準備して、GABAを増加させるための処理が食味に与える影響を評価する準備を進めている。 これまでに得られた研究成果については、2021年6月に近畿作物・育種研究会において口頭発表を行い、同内容で投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究材料の準備や、実験装置の準備はむしろ計画よりも早く進行しているが、新たに導入するGABAの定量法の精度の検証、デンプンの物理特性を評価するために導入した装置による実験方法の確立に遅れが生じている。これらは実験操作上の問題であり、解消されれば研究の進捗そのものに与える影響は小さいと考えている。コロナ禍のなかで入手が難しかった物品も含めて必要な資材を確保できたため、今後は遅れを取り戻しつつ順調に進展すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究に関して、現在大きな障がいはなく、概ね予定どおりに進められている。さらに、「GABAを増加させるための水浸処理が食味に与える影響」についての調査も追加して行うことにより、高機能性白米生産技術の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
消耗性器具・試薬等に充てていた予算について少額の残余が生じたが、2022年度の助成金のなかの物品費の一部として有効に活用する予定である。使用計画における変更はない。
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Research Products
(1 results)