2022 Fiscal Year Research-status Report
Production method of high GABA polished rice and slection of suitable rice varieties for it.
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21K05447
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
堀端 章 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (70258060)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | γ-アミノ酪酸 / 催芽処理 / 白米 / 突然変異 / 胚乳移行率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、Enzyme Sensor Co. Ltd.から提供された新規のGABA定量キットを用いて、水稲品種ミルキークインと日本晴における、催芽処理の時間とGABA新生量ならびに白米層へのGABAの移行率に関して詳細な調査を行った。上記のキットは従来用いていた酵素法よりも簡便かつ高精度にGABA含量を計測することができた。催芽処理時間を5時間から20時間まで変化させて、GABAの新生量を調査した結果、両品種ともに、5時間までにGABAが顕著に増加するが、それ以降は催芽処理時間の延長にともなってGABAは漸増した。また、白米層への移行率は、10時間まで増加した。これらの結果から、高GABA含有白米の製造には、10時間程度の催芽処理が適切であると考えられた。一方、品種間の比較においては、ミルキークインの方が日本晴よりも白米層へのGABAの移行が早く進むことが示された。ミルキークインは胚乳細胞間に間隙を多く含む低アミロース品種である。この間隙を通じてGABAが効率よく移動すると考えられる。低アミロース品種は良食味でもあり、高GABA含有白米の製造には低アミロース品種の方がより適していると考えられた。 実験圃場では、1000系統以上の突然変異系統を栽培した。そのうちの75系統について、催芽処理におけるGABAの動態を調査できる量の玄米を得た。現在、これらの系統についてGABAの動態の調査を進めている。 これまでに得られた研究成果については、作物研究に投稿し掲載された。また、本年度得られた研究成果については、学会発表を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度において、懸案となっていた新規のGABAの定量法の導入に関して、同法が十分な定量性を示すことが確認され、実際に白米層へのGABAの浸透の様子を明らかにすることができた。また、研究を進めるために必要な突然変異系統の玄米を確保することができたため、今後も予定通りに研究を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、突然変異系統におけるGABAの動態を調査する。供試系統中には、予備的試験においてGABA新生量が多く、かつ、白米層へのGABAの移行率が極めて高かった系統が含まれる。この予備的試験は、わずか25系統の突然変異系統を用いて行ったものであるが、本研究では、すでに75系統の調査を始めており、2023年度も供試系統を追加して進める予定である。このため、催芽処理によるGABAの新生ならびに白米層への移行率に関するさらに多様な突然変異を見出すことが期待される。
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Causes of Carryover |
2022年度に予定していた突然変異系統における催芽処理にともなうGABAの動態に関する調査が少し遅れているために、この調査に用いる試薬の購入の執行が遅れた。次年度において、研究計画通りに進める予定である。
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Research Products
(1 results)