2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Microencapsulation System for Functional Nanoparticles via Carbohydrate Polymer
| Project/Area Number |
21K05451
|
| Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 直人 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70323251)
|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
| Keywords | 電子線トモグラフィ / ナノろ過 / システム / 機能性 / 材料 |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖質高分子を用いる機能性ナノ粒子のマイクロカプセル化システムの確立をめざして、加圧熱水反応場を活用するナノメートルスケールの微粒子調製技術を用いて試料を作成する。この研究により、生理活性を有する機能性成分(多くは皮や葉に含まれている)の抽出・濃縮を同時に進め、機能性ナノ粒子を創成し、ナノスケール加工を基盤とする機能性成分の利用を支える技術開発を行った。前年度に引き続いて、澱粉ナノ粒子分散液のサイズ排除クロマトグラフィ-光散乱検出(SEC-LC)によるクロマトグラフと固有粘度との関係の解析、電子線トモグラフィ画像からソフトウェアによる立体構造の構成、玉ねぎ外皮からのケルセチン抽出・濃縮を行った。さらに、含水エタノールや蒸留水を溶媒として、得られた抽出溶媒に含まれるフラボノイド量を測定し、さらに既報の方法を用いて調製した微細化澱粉をwall材として供して、凍結乾燥法マイクロカプセル化を行い、フラボノイドの回収率を調べた。フラボノイド類を多く含むトマト葉からの水性粗グリセロール抽出およびナノろ過濃縮のプロセス条件の最適化とともに初期段階ライフサイクルアセスメントを行った。マイクロカプセル化システムは、抽出、加圧溶媒抽出、ろ過濃縮、噴霧乾燥(凍結乾燥)により構成され、実装のためのスケールアップ、応答局面法による実験条件の最適化、機能性成分のライフサイクルアセスメントの結果から産業への利用を見通すことができる機能性素材利用の方策について若干の検討を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖質高分子を用いるナノ粒子分散系の基礎的なデータを取得するため、澱粉ナノ粒子分散液のSEC-LSによるクロマトグラフの解析と粘度計測結果との相関分析を行い、加圧熱水プロセス温度が粘度に及ぼす影響において、澱粉のブロックレットの崩壊、分岐の消失、分岐構造が予想される結果を得た。走査透過電子顕微鏡(STEM)による電子線トモグラフィを用いるナノ粒子のメソスケール構造観察について、この方法が適用できるナノ粒子分散系の選定、観察試料作成、透過型電子顕微鏡用の試料台作成、トモグラフィ画像作成のための観察条件と解析法を検討し、粒子径30 nm以下の双円錐状のナノ構造体が確認された。タマネギ外皮からのケルセチン抽出・濃縮について、80℃加圧熱水処理によるケルセチン抽出液のナノろ過により、ケルセチンが3倍の 濃度に濃縮され、これは80℃含水エタノールを用いて抽出したケルセチン濃度と同じ水準であることが明らかになった。含水エタノールやイオン交換水を溶媒として供試し、それぞれ140℃で加圧熱水処理を行い、抽出溶媒を調製し、さらに既報の方法に基づいて微細化澱粉をwall材として供試して、凍結乾燥法によりマイクロカプセル化を行い、回収率を調べた。フラボノイド類を多く含むトマト葉からの水性粗グリセロール抽出およびナノろ過濃縮の初期段階ライフサイクルアセスメントの結果、電気使用が環境へのインパクトの大部分を占めており、加圧熱水抽出プロセスが最も影響力があることが明らかとなり、ナノろ過濃縮は電気利用を抑制しつつ、機能性成分の濃縮を行えることがわかった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
本研究では、糖質高分子を用いる機能性ナノ粒子のマイクロカプセル化システムの確立をめざして、生体高分子や生理活性を有する成分を対象として、これらを含む分散系の糖質高分子の性質を明らかにすること、生理活性を有する機能性成分の抽出・濃縮の実験を進め、機能性ナノ粒子を創成し、ナノスケール加工を基盤とする機能性成分の利用を支える技術開発の必要により計画を実行した。I 糖質高分子の分岐-線状トポロジと物性解析法の構築 観察に供試する試料について、加圧熱水プロセス温度が高い条件では、澱粉粒が微細化され、適用させたナノ粒子の構造観察が困難であった。この点を改善するために新しい手法を導入して、継続して研究を行う予定である。II 玉ねぎ外皮からのケルセチン抽出・濃縮については、これからの課題発展につながる興味深い結果が得られている。ナノろ過による精製・濃縮を融合した、省エネルギー前処理システムの様々な成分を対象にして研究を行う予定である。III 機能性ナノ粒子分散調製液のマイクロカプセル化システムの開発については、噴霧乾燥機チャンバーの破損事故のため乾燥工程を急遽凍結乾燥に置き換えてマイクロカプセル化を行った。噴霧乾燥による実験データの取得とともに、これまで得られた知見の精査や学会・論文発表を予定している。
|
| Causes of Carryover |
噴霧乾燥機チャンバーの破損事故のため、凍結乾燥機に置き換えて乾燥工程を実施したものの、噴霧乾燥機によるマイクロカプセル化のデータを取得するため、さらに成果の学会発表を行るため次年度使用額が生じた。
|