2022 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病発症における膵β細胞の脂肪適応と脂肪毒性についての栄養生理学的検証
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21K05453
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
浅井 明 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (30500011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 元嗣 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10468762)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インスリン分泌 / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に前年度より導入したヒト由来膵β細胞株(EndoC-βH1細胞)を用いた細胞培養系において、各種の脂肪酸添加に対する細胞応答を比較検討した。その結果、添加する脂肪酸の種類(鎖長や不飽和度)や培養時のグルコース濃度の違いによって、細胞の生存率やグルコース応答性インスリン分泌に大きな差異があることが確認され、この時、脂質代謝や糖代謝に関わる種々の遺伝子発現に変化が生じていることを認めた。また、EndoC-βH1細胞の培養条件について様々な検討を行い、膵島様の細胞塊(pseudo-islet)を作り出し、pseudo-isletを浮遊状態で培養する方法を新たに確立した。このEndoC-βH1細胞由来pseudo-isletの作成法は、既報のpseudo-islet作成法より簡便であり、比較的サイズの揃った細胞塊を長期間にわたって安定的に浮遊培養することが可能であった。また、グルコース応答性インスリン分泌能も通常の単層接着条件下での培養時よりも優れていることから、より生体の膵島に近いモデルとして有用と考えられ、このpseudo-isletにおいても添加する脂肪酸の種類によってグルコース応答性インスリン分泌等の細胞応答に大きな差異があることを認めた。これらの結果から、本年度の成果は、本研究の目的である「膵β細胞機能(インスリン分泌能)と脂肪毒性・脂肪適応との関係の解明」につながるin vitro実験ツールの確立という点で非常に重要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルコース応答性インスリン分泌をはじめとする膵β細胞の細胞機能を比較検討するin vitro培養細胞モデル系を確立し、脂肪酸の種類による細胞応答の違いを見出すことができた。今後はその細胞応答の差異をもたらす作用機序の解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
β細胞株やマウス単離膵島を用いて、各種脂肪酸添加時のインスリン分泌をはじめとする細胞応答の変化をより詳細に検討し、脂肪毒性・脂肪適応を評価するとともに、細胞内脂質成分の解析を加えることによって、その表現系発現に寄与するkey moleculeを探索する。
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Causes of Carryover |
年度末に外貨建て支払いの必要があり、円換算での使用額確定が不可能だったため次年度使用額が生じたが、これについては次年度の消耗品購入代に充てる。
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