2021 Fiscal Year Research-status Report
エクオール抱合代謝物がもたらす神経保護的活性物質としての新たな可能性
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21K05457
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小原 映 杏林大学, 保健学部, 助教 (40782701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Equol / イソフラボン / Glucuronide / Sulfate / 抱合代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
Equolは、daidzeinから腸内細菌により合成される化合物であり、エストロゲン作用だけでなく、神経保護作用を有するため、認知症予防効果の可能性が指摘されている。ヒト生体内では大部分(>99%)がグルクロン酸や硫酸の抱合代謝物として存在する。しかしEquolの機能を評価した研究は、多くが抱合していないEqを対象としており、特に脳内において抱合代謝物の機能は評価されていない。本研究ではマウス脳内における抱合代謝やそれに関わる代謝酵素の分子種を解明し、脳のどの部位で効果を示すのか、また抱合代謝物が神経保護作用を有するのかを検討する。 今年度は、マウス脳内に存在する、Equol抱合代謝物の種類を明らかにした。C57BL/6マウスに1日2回3日間連続、経口投与(30 mg/kg/day)し、灌流したのち脳を摘出した。同時に肝臓、腎臓、血漿も採取した。なおマウスは経口投与前4週間大豆イソフラボンフリーの食餌を与えた。採取した組織をアセトン/エタノール(1:1, v/v)溶液および水を加え、超音波破砕を行った。その後、固相抽出(Oasis HLB cartridge, 6 cc)し、LC-MS/MSにて測定した。測定条件は、カラムはcoretecs T3(150×2.1, 3μm)、流速は0.2 mL/min、カラム温度は45℃、移動相は酢酸アンモニウムとアセトニトリル/メタノール/酢酸アンモニウム(6:3:1, v/v)のグラジエントモードとした。 その結果脳内では、Equolにグルクロン酸が抱合したmono-Glucuronide、硫酸抱合したmono-Sulfate、Equolの計5種類が検出された。肝臓や腎臓では、二重抱合代謝物も検出され、肝臓では7種類の、腎臓では8種類のEquolおよびその抱合代謝物が検出された。各々の臓器において、違いがあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LC-MS/MSの条件設定および組織抽出方法、Equol投与の検討に当初の予定よりも時間が必要となったため、MALDI-TOF-MS Imaging(MSI)まで進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内および他の臓器(肝臓、腎臓、血漿中)に存在するEquolおよびその抱合代謝物が明らかになったため、以下について進める予定である。 ①MALDI-TOF-MS Imaging(MSI)を用いてEquol抱合代謝物の脳内分布を明らかにする。 ②抱合反応に関わる主要代謝酵素の分子種を同定する。 ③脳内における主要代謝酵素の分布を明らかにする。
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Causes of Carryover |
実施計画に遅れが生じており、今年度実施予定であったMALDI-TOF-MS Imaging(MSI)を進めることが出来なかったため、MSIに必要となる試料等が次年度使用額となった。従って、次年度はこの計画を含め実施を行う予定である。 脳内および他の臓器(肝臓、腎臓、血漿中)に存在するEquolおよびその抱合代謝物が明らかになったため、以下について進める予定である。①MALDI-TOF-MS Imaging(MSI)を用いてEquol抱合代謝物の脳内分布を明らかにする。②抱合反応に関わる主要代謝酵素の分子種を同定する。③脳内における主要代謝酵素の分布を明らかにする。
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