2022 Fiscal Year Research-status Report
エクオール抱合代謝物がもたらす神経保護的活性物質としての新たな可能性
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21K05457
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
小原 映 杏林大学, 保健学部, 助教 (40782701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Equol / LC-MS/MS / Isoflavone |
Outline of Annual Research Achievements |
Equolは、daidzeinから腸内細菌により合成される化合物であり、エストロゲン作用だけでなく、神経保護作用を有するため、認知症予防効果の可能性が指摘されている。今年度は、まず組織中におけるEquol抱合代謝物の定量のため、検量線を作成した。血漿と脳における検量線は、0.19~78.64 ngの範囲において、r=0.9550以上の良好な直線性を得ることが出来た。結果、血漿100 uL中には、E-4’-G 2.7 ng、E-7-G 16.0 ng、E-4’-S 23.4 ng、E-7-S 36.7 ngが存在し、Equolは検出されなかった。現在脳およびその他の臓器の検量線および定量を検討中である。機器更新などで質量分析装置が使用出来ない期間があったため、R5年度計画であったEquol抱合代謝物の神経保護作用を検証するための細胞実験を先行して実施した。初代培養法として、まずC57BL/6マウス生後1~4日までの仔マウスの大脳を採取し、パパイン酵素処理したのち、Poly-D-lysineをコートしたフラスコに1×10^6個となるように播種した。5日後アストロサイトがコンフルエントになったことを確認し、200 rpmにて30分間振とうし、ミクログリアを回収した。この方法にてアストロサイトとミクログリアを分離し培養し、実験に用いた。これら培養細胞を用いることが出来るかの確認のため、LPS 1 ug/mLで24時間刺激させ、NO2-の生成を測定した。その結果アストロサイトとミクログリア共に、LPS刺激によるNO2-の生成が確認できた。このアストロサイトとミクログリアを用いて各抱合代謝物の神経保護作用を比較検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Equol投与後の抱合代謝物測定において、再現性が取れず、現在、条件等含め再検討中である。また年度後半は質量分析装置のメンテナンスおよび機器更新などが重なり、使用出来ない時期があったため、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず脳内および肝臓、腎臓に存在するEquolおよびその抱合代謝物の定量を行う。組織内におけるEquol抱合代謝物の再現性にばらつきが見られるため、経口投与だけではなく、尾静脈投与も検討する。また細胞実験ではEquol抱合代謝物の神経保護作用を検証するため、培養したアストロサイトおよびミクログリアに、各Equol抱合代謝物で添加し、LPS刺激を行い、細胞生存率、NO2-生成量を測定する。さらに昨年度に引続き、下記についても進めていく。①MALDI-TOF-MS Imaging(MSI)を用いてEquol抱合代謝物の脳内分布を明らかにする。 ②抱合反応に関わる主要代謝酵素の分子種を同定する。③脳内における主要代謝酵素の分布を明らかにする。
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Causes of Carryover |
組織内におけるEquol抱合代謝物の再現性が乏しく、再度条件検討などの実施や分析機器故障や更新のため使用出来ない時期があったため、実施研究計画に遅れが生じている。そのため、当該年度で使用予定であったMSI用試薬や酵素(UGTやSULT)等の費用が、次年度使用額となった。次年度使用額は、この試薬類の購入に充てる予定である。
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