2023 Fiscal Year Annual Research Report
機能性評価系として腸管オルガノイドを用いた分岐鎖アミノ酸の新たな機能の解明
Project/Area Number |
21K05459
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
服部 一夫 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (10385495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸管オルガノイド / 腸管幹細胞 / 分岐鎖アミノ酸 / バリン / アポトーシス / 小胞体ストレス / Wnt/β-カテニンシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度は腸管オルガノイドを用いて、分岐鎖アミノ酸(BCAA: バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile))の欠乏が腸管上皮細胞に及ぼす影響を調べ、Val欠乏だけが幹細胞数を減少し、Ile欠乏だけが内分泌細胞数を増加することを示した。昨年度は特にValに着目し、Val欠乏による幹細胞数の減少に関するメカニズムをRNA-seqで解析した。その結果、小胞体ストレスに起因するWnt/β-カテニンシグナルの不活性化とアポトーシスの誘導が関与していることが示唆された。本年度は、腸管オルガノイドを用いた機能性評価系の有用性を実証するために、各BCAA欠乏餌をC57BL/6マウスあるいはLgr5-EGFPマウスに与えた後、腸管を回収し、これまでの腸管オルガノイドで認められた現象が生体内においても反映されているかを検討した。その結果、Val欠乏だけが幹細胞マーカーであるLgr5のmRNAレベルの低下、オルガノイド増殖能の低下、アポトーシスの増加を誘導した。さらに、Val欠乏は絨毛の高さやクリプトの深さも低下しており、幹細胞数の低下との関与が示唆された。また、クリプトにおける増殖細胞数の減少、アポトーシス細胞数の増加も確認され、腸管オルガノイドと同様の挙動を示した。分化細胞に関しては、Ile欠乏が内分泌細胞マーカーであるChgA mRNAレベルを低下したが、内分泌細胞数に影響は認められなかった。また、すべてのBCAA欠乏群において杯細胞数が減少しており、腸管オルガノイド (内分泌細胞数の増加、杯細胞数は変化なし) と異なる挙動を示した。したがって、腸管オルガノイドを用いた機能性評価は、分化細胞においては生体内での結果を十分に反映していなかったが、幹細胞においては生体内と腸管オルガノイドの結果が同様であり、動物に替わる幹細胞の機能性評価系として応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)